絵:福井大海画伯

前回に引き続き、骨粗ショウ症の話を書く。

「先生、私にも魔法の薬をだして」と、老人ホームに入所のおばあさん。何のことやら、さっぱりわからない。「ほら、足のしびれがとれるし、腰の痛みもとれるっていうクスリ」

どうやら骨粗ショウ症の薬(ビスフォスフォネート製剤)らしい。1週間に1度服用すればいいだけだし、服用し始めるとすぐに効果がでてくるから、お年寄りにはきわめて好評である。

話に尾ひれがついて、足のしびれまでとれるという人も出てきたようだ。その薬にはしびれ改善の効能はないから、思い込みで効いてしまうというプラシーボ効果かもしれない。因果関係はどうあれ、骨が丈夫になることにより、「しびれ」が少しでも改善するなら、それに越したことはない。

私が老人ホームの医療に携わるようになって20年。このような現象は初めてのこと。骨が丈夫になり、痛みがなくなれば、運動量が増える。ひいては、不眠も改善するし、寝たきり防止にもなるし、ボケ防止にもつながるから、多くの福音をもたらしてくれるのは間違いない。

診療所で、だいたい65歳以上の女性の骨塩量を調べていると、日常の食生活がかなり影響していることがわかる。骨塩が多い人は小魚とか牛乳とかを日常、取り続けている人がほとんどであり、薬は不要だ。少ない人は食生活がその逆であり、体型ががっしりしているとか肥満だとかは関係がないようである。医食同源という言葉があるが、骨粗ショウ症はその言葉がぴったりの病気だ。

検査は骨の強さをレントゲンを用いて計測し、骨塩が極端に不足している状態が「骨粗ショウ症」だ。骨は整形外科が主に取り扱う病気だが、最近では内科でも外科でも、婦人科でも骨塩測定装置を設置しているところが多いので、容易に診断が出来る。なので、中高年以上の女性は折あらば、一度は計測してみる価値はあると思う。