実際に今でも流行っているのかどうか判りませんが、某シャンパン・メーカーがシャンパン4分の1ボトル(フランスではキャール、日本ではシブイチという渋い呼び方がある)にストローを付けて売り出したことがあります。でもストローで少しづつ飲むと酔うんですけどね…。

その当時の営業マンが私に言いましたよ。「福井では飲むシーンが無いですね」。コラーッ! 無礼者。別にコジャレたクラブやグラスくるくるのワインバーで飲まないといけない法律はなかろう。「田んぼで飲めばいいじゃないですか」とお答えしておきました。

これぞ、田舎方式。ではなくて田舎方式というのはワインの作り方の名前です。メトード・リュラル。リュラルは田舎の、メトードは方式いう意で田舎方式。フランスのローヌ地方の北部や地中海沿岸に広がるラングドック・ルーション地区で昔からスパークリングワインを作っている方法です。その前にスパークリングワインの泡は葡萄から自然に生まれたもの。真珠と例えられる綺麗な泡はどうやって作るのでしょう。

ワインは葡萄をアルコール発酵して作るものです。醗酵の主役は酵母。単細胞の微生物です。この酵母のエサは葡萄の中の糖分。糖分を食べて人間だとオシッコとオナラに相当するであろうアルコールと炭酸ガスを出します。通常のガスのないワイン「スティルワイン」も初めはガスがあったのです。そのガスを瓶の中に閉じ込めたのがスパークリングワイン。

最も有名な泡ものがシャンパンですが、いろいろと手間隙が掛かる。シャンパンが高いのは手間賃が高いせいもあります。そこで手間隙を大幅に端折ったものがメトード・リュラル。醗酵しているワインを瓶に詰め、冬に酵母には冬眠していただいて、春にまた糖分を食べてガスを出していただく。

1531年、ラングドック地方のリムーでベネディクト派の修道士が発見しました。たぶん、標高の高いリムーでは酵母が冬眠し、これを醗酵が終わっただろうと慌て者のトンスラ頭の修道士が勘違いして瓶詰めしている様子が私には確かに見えます。再び春になって活動した酵母によって、偶然美味しいスパークリングワインが出来ました。というめでたいお話のような気がします。

後にこの製法はシャンパーニュ地方でも試され、世界の憧れの的、シャンパンが生まれることにもなりました。

ワインには島ごと火事になってできたといわれるマデラや葡萄摘みの伝令が山賊に襲われた、あるいは腹痛で遅くなってできたドイツのシュートレーゼなど偶然で見つかった製法がいくつもあります。

どれもこれも災難で当事者にとっては泣きたくなるでしょうがワインの多様化に一役買っているのです。メデタシ、メデタシ。

失敗は成功のもと………………………………………………………と思うのが、失敗のもと。

しりとりコラム、次回はキャヴィアです。

【しりとりワード!】

ヴィーノ→ノン・ヴィンテージ→淑女のため息→キアンティ→田舎方式→次回は「キャヴィア」