若泉敬氏の功績を広く伝えていくことを決めた顕彰会の設立の集い=28日、福井県鯖江市の鯖江公民館

 沖縄返還交渉の際、佐藤栄作首相の密使として尽力した福井県出身の国際政治学者、若泉敬氏(1930~1996年)の顕彰会の設立の集いが28日、鯖江公民館(福井県鯖江市)で開かれた。立ち上げに関わった県内有志ら約40人が出席。今後は講演会やトークショーを通して、若泉氏の功績を広く伝えていく。

 若泉氏は旧今立郡服間村(現越前市)生まれ。67年から沖縄返還に関わり、米ニクソン大統領の代理人、キッシンジャー補佐官と水面下で交渉。94年の著書「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」では、有事の際に沖縄への核兵器の再持ち込みを認めるという日米密約を明らかにした。

 96年に66歳で亡くなってから20年以上たち、若泉氏の業績を知る人が減ってきたため、有志で顕彰会を立ち上げることにした。9月には、若泉氏とゆかりのあるジャーナリストの講演、12月には若泉氏を知る地元関係者によるトークショーを開く予定。イベントやインターネットのホームページを通して、若泉氏の功績や人柄に光を当てていく。

 会長には橋本国宏・鯖江市区長会連合会長(74)、顧問には栗田幸雄・前福井県知事(87)が就いた。橋本会長は「若泉先生は歴史の歯車を回した当事者として、戦後の裏側を書き残した。先生が生涯をささげた世界平和への思いをあらためて考え、功績を再確認していきたい」とあいさつした。

 栗田前知事は「私が知事だったときは、毎年夏に知事公舎にお招きし、県政全般についてアドバイスをもらっていた。世界の中の福井という広い視野でものを考えることを教わった。一切自慢話をしない人だった」と思い出を披露した。

 映像で若泉氏の足跡を振り返った後、生前の若泉氏と交流があった元新聞記者でジャーナリストの佐伯浩明さん(73)が講演。若泉氏の人柄に触れながら「若泉氏の(戦争で亡くなった)沖縄県民に対する鎮魂の思いは並みではなかった」と話した。

 若泉氏は京都産業大教授、同大世界問題研究所所長などを歴任。80年、東京から鯖江市に転居した。
 

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