福井地方気象台での主な生物季節観測

 季節の移り変わりを知るため、気象庁が動物の初鳴きや植物の開花日などを調べる「生物季節観測」で、福井地方気象台は2000年以降、観測項目の一つ「ホタル」を観測できず、項目から除外される「観測廃止」の危機にひんしている。専門家は街灯や車のヘッドライト、都市化が影響しているとみている。

 生物季節観測は全国58カ所の気象台・測候所で行っており、福井市の同気象台では桜や梅など植物19種類、ツバメやモンシロチョウなど動物15種類を観測している。1953年に開始し、植物は構内の標本木を、動物は職員が交代で半径5キロ以内で探し観測している。

 ホタルはゲンジボタルやヘイケボタルの初見日(初めて観測した日)を調べているが、気象庁によると、有効な平年値を出すための「30年間に8回以上観測」などの条件を満たさないと観測廃止となる。福井ではこのまま2022年までに1度も観測されなければ項目から除外され、季節の指標とされなくなる。

 2010年時点で全国49カ所で観測していたホタルは、11年以降、東京や大阪、名古屋など都市部を中心に15カ所で除外された。同気象台の田中豊管理官は「皆によく知られるホタルが項目から除外となると、風情がなくなるようでさみしい」と話している。生態に詳しい福井工大環境情報学部の草桶秀夫教授は「気象台や福井駅周辺は都市化が進み、見つけにくくなっているのでは」と指摘する。

 一方、県内の生息について、県ホタルの会顧問の山下征夫さん(72)=福井市=は「農家の高齢化に伴い田んぼで農薬を使う機会が増え、ホタルの住む場所が失われてしまった地域もあるが、ホタル保護に力を入れ、数が増えている地域もある」と話す。

 全国ではトノサマガエルの廃止も相次いでいる。2011年以降に28カ所で観測が廃止されたが、福井地方気象台では昨年、2001年以来15年ぶりに観測した。

■生物季節観測

 季節の移り変わりを調べるため、1953年に始まった。現在は全国で動植物計57種目が対象。植物は発芽や開花、満開、紅葉、落葉を、動物は初鳴きと初見を調べている。全国的に桜の開花日が早まったり、カエデの紅葉日が遅くなったりする傾向が出ており、気温上昇の影響と考えられている。

関連記事
あわせて読みたい