小春日和の福井市。世界各国でさまざまな 呼び方がある(写真は福井新聞紙面より)

小春とは旧暦10月の異称で、新暦11月から12月初めごろにあたります。移動性高気圧に覆われたり、冬型が弱まると、青空が広がり穏やかな日和となります。小春日和です。

欧米ではこのような天気のことを「インデアンサマー(※)」、中欧・北欧では「老婦人の夏」、ロシアでは「女の夏」、イギリスでは「聖マルタンの夏」などと言っています。

 (※インデアンは白人が作った差別用語でアメリカ原住民と言わなければなりませんが、米国で使っている言葉として紹介しました)

11月は旧暦の10月、神無月に当たり、時雨月とも呼ばれます。古来俳人や歌人にも詠まれており、「初しぐれ猿も小蓑をほしげなり」の芭蕉の句はよく知られています。「時雨」は古くから使われていますが、気象庁の予報用語ではありません。予報では「曇り時々雨」です。時雨は「過ぐる」から出た語で、通り雨の意味です。地方によって名前があり、京都の「北山時雨」。仙台地方の「さんさ時雨」などあります。

時雨は大気の不安定により起きます。「大気の不安定」とは下層の空気が上層に持ち上げられる現象で、規模の大きなものは低気圧です。上層の空気が下層に下りてくるのは高気圧です。高気圧や低気圧は大規模な擾乱ですが、晩秋から始まる時雨は規模の小さな擾乱です。

西高東低の冬型気圧配置になったときの気象衛星からの雲分布を見ますと、一面の雲ではなくて筋状になっています。筋のところは雲で降雨や降雪があり筋のないところは雲がなく青空が見えるところです。

「曇り時々雨また時々晴れ」という表現はごまかしているように聞こえますので、現在は使用しなくなりましたが、現象そのものを忠実に表現したものです。日本海に寒気が入ると海面温度と吹き渡る空気の温度差が大きいので、暖かい海面(11月の日本海中部の海面水温は約20℃)から激しく蒸発します。

暖かい水蒸気を含んだ空気は上昇して膨張すると温度が下がって水蒸気は水滴となり雨や雪になります。予報用語ではありませんが「雪時雨」なども味のある表現だと思います。

北陸地方の3ヶ月予報では、12月は気温低目、降水量は多目となっています。冬の備えを早めにしましょう。