福井県を代表する豊饒の川「九頭竜川」

「子どもには、どんな本を与えたらよいですか?」こうしたこともお母さんからよく聞かれることですね。

そうですね、本屋さんに行ってみると、小さい子を対象にした本でも、まるで本の洪水のように雑誌をはじめ、いろいろな種類の本が、所狭しと並んでいますよね。その中からおうちの方が子どもにふさわしい本を選ぼうとするのは並大抵ではありませんよね。

ところで、どうしてお子さんに本を与えたいと思われますか? 子どもが本を読んでほしがるから。そうですね。そういうこともありますね。本を読んでいろいろなことを知って賢い子になってほしいから。そういうこともあるでしょう。将来、本をよく読む人になってほしいから・・・などなど、いろいろのたくさんの理由がおありになることでしょう。理由など考えずに、世の流れとして子どもには本を与えなくっては・・・。と思っておられる方もあるかもしれませんね。

なかには、自治体の事業として始められた「ブックスタート」という、生まれて間もなくの赤ちゃんの検診の折、絵本を通してお母さんと赤ちゃんのふれあいを促進するために絵本が手渡されるという活動も近年全国的に広がり、定着しつつあるようですね。

ここでは、小さいお子さんにしてあげる‘おはなし’に限定してご一緒に考えてみたいとおもいます。

‘おはなし’を通して子どもとかかわる世界においても、現代社会のその実状を見ますと、たくさんのお話や本にあふれているだけでなく、さまざまな人のさまざまな考え方があり、実際に‘おはなしを’子どもにするにしても、「本を直接読む」、「テープなどの機械を通して聞かせる」、「テレビやビデオなど画像を見せるなど」、さまざまな方法がとられているのです。

こうした子どもを取り巻いている現代社会の「おはなしの世界」の実情を目にしますと、その根源へ目を向けなければおはなしの世界の本質は見えてこないように思われてくるのです。

九頭竜川といえば福井を代表する県民にとってはとても馴染み深い川です。九頭竜川は、福井県と岐阜県の境にその源を発していて、上流においては多くの山々の岩肌を砕き、ゆっくりと蛇行しながら平野でその流れを延ばし、その道中でほかの川と合流するなど、さまざまなたくさんのものを取り込みながら川幅を広げ、その長い道程を経て三国町に至り、日本海に注いでいるのです。

ふつう、九頭竜川といえば、私たちが最も目にしやすいのは、その下流にあたる、川幅も広く水量の多い、ゆったりと流れている川だとおもいます。

もう40年も前になるでしょうか。和泉村に赴任していた頃、何かにつけよく通った油坂峠あたりの、九頭竜川のその源流といわれるところに、一度連れて行っていただいた記憶があるのです。記憶が定かであればではあるのですが。

その源は、下流のいつも目にしていた九頭竜川からはとても想像できない、これがあの九頭竜川に!と思えるほどのささやかな流れだったように記憶しているのです。しかも、厳然たる自然の必然から生じたものであることも一目瞭然であったようにも思えたのです。

子どもに聞かせる「おはなし」も下流のたくさんの本や情報の洪水のような中にいては何も見えてこないように思われます。その源流をさかのぼって訪ねるとき、その本質が見えてくるように思われます。そして、‘おはなし’を通しての子どもたちとのかかわり方も自ずと明らかにされるのだと思うのです。

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