2歳の子には机上劇などでおはなしを聞かせて あげたいもの。

簡単に‘おはなし’といっても‘おはなし’にはいろいろな世界がありますね。たとえば、誰かが創作した‘創作おはなし’、あるいは、ある特定の地方に伝わっている‘伝説のおはなし’、世界各地の民話や昔話、神様についての‘神話のおはなし’ などなど・・・。

そうしたいろいろな‘おはなし’の世界の中で、私たちの園では次のような観点から‘おはなし’およびその仕方を選んで園の子どもたちにしてきております。そのなかで、何か参考にしていただくことがあれば参考にしていただいて、お子さんに‘おはなし’してあげていただけたらとおもいます。

幼児期の子どもは「7歳までは神のうち」とも言われています。ですから、この時期の子どもは、大人やほかの成長発達期にあるお子さんとは大きく違っているのです。そのために、たかが‘おはなし’と思われる方もおられるかもしれませんが、そのこどもの精神世界、成長段階を十分に配慮し、考慮した与え方をしなければならないとおもっております。

まず、この年齢は「体を作る」という大事な時期でもありますので、‘おはなし’を通してのかかわりが、体作りという働きの妨げとならないように、いやむしろ、体作りを促進するものでなければならないのです。

特に赤ちゃんや3歳にならない、まだ小さいお子さんにはその精神世界にあった歌や簡単な歌遊びを、その発達段階に合わせて選んでしてあげます。感覚的になるべく知的に働きかけないよう配慮して、お子さんと触れ合いながら(触覚を通して)あまり大きい声でなく(聴覚を通して)、やさしく歌ってあげるようにしています。

赤ちゃんや小さい子にとって絵本はどうなのでしょうか? これまでは、赤ちゃんの誕生祝として何かを贈るとき、赤ちゃんに絵本を贈るということは一般にはあまりなされてはいなかったようにおもいます。しかし、時代が進むにつれ、赤ちゃん絵本なども本屋さんにはたくさん出回るようになりました。何も知らない若いお母さん方はそうした社会状況にあおられ、逆に赤ちゃん時代から絵本を与えなければならないと思い込んでしまうようなのです。絵本ならば手軽に与えることができますものね。

本当は、赤ちゃんや小さい子にとって、絵本はまだ早いとおもいます。読み聞かせという視覚を通してかかわるということは、知的な力が触覚や聴覚に比べて大きく働きます。むしろ、本をプレゼントするなら、責任を持って「赤ちゃんにふさわしい、よく吟味された歌の本」を選んで、お母さん向けにプレゼントしてあげた方がよいとおもいます。

お母さんは、そうした本を見ないでも自分のものとして歌えるようになってから、あるいはこれまでのお母さんがよく知っている歌を、お子さんを膝に抱いて触れ合いながら、あるいは向き合って、あるいは手をつなぎながら、繰り返し、繰り返し、「お母さんの、ここちよい歌」(あるいはお父さん、おうちの方)としてお子さんに届けてあげていただきたいのです。お子さんの耳に響かせてあげていただきたいのです。ですから決して多くではなく、一つの歌を繰り返し、繰り返し歌ってあげればよいのです。

さて、3歳以上の大きいお子さんには童話(メルヘン)を選んで話して(語って)あげています。絵本はあまり見せていません。絵本を与えるということは、まだ判断力のない小さい子どもに対して、ある人のイメージによって描かれた絵を受動的に与えてしまうことになるというのです。子どもには空想したり、想像したりする(ファンタジー)力があるからです。ですから、絵本を見せることによってその空想する力を、大人が奪うということになってしまうのです。そうした力を奪うということは生命力を弱めることにもつながるのです。もし与えるとしても、子どものそうした想像する力の妨げをしない程度にその本質をたがえずに描かれているものを除いては・・・というのです。

ですからファンタジーの力が豊かでない、まだ小さい子には、その想像を助ける意味での実に素朴な、それでいてその本質をたがえないような(私たちにとっての課題ですが)人形を使って人形劇をしています。それも一つのお話を繰り返し、繰り返しするのです。

以前に、ある外国の幼児教育者の方からこんな話を聞いたことがあります。「私は、小さい頃はメルヘンを通して聞くお城を、とても素敵に想像していました。ところが大きくなって実際にお城を見て、その想像していたものとはあまりの違いにとてもがっかりしました」。こうしたことは皆さんにもおありではないでしょうか?

子どもは不思議です。お話に馴染みになればなるほどそのお話が好きになってくるのです。大人に対するように日替わりメニューでなくてもよいのです。大人だって、何回も繰り返して聞くうちに、ようやく深いところまで理解できということも往々にしてあるのではないでしょうか。