四川省綿陽市で、地震の余震を恐れ屋外で 寝る人たち=13日未明(共同)

今年5月は天変地異が続発しました。4月27日にベンガル湾で発生したサイクロン「ナルギス」(NARGIS)は、発生後しばらくベンガル湾で停滞して衰えたものの、上陸直前に急速に発達し、サイクロンの眼は気象衛星からはっきり見えていました。5月2日にミャンマー南部に上陸し暴風と高潮高波により甚大な被害をもたらしました。

低気圧が通過するときは「吸い上げ効果」と言って海面が上昇します。例えば、1000ヘクトパスカルは水圧で換算すると10メートルの高さになります。950ヘクトパスカルは5パーセント圧力が減りますので、10メートルの5パーセントで50センチメートル上昇することになります。台風が通過する時は、高潮と風による高波が起こり、さらに月と太陽による潮汐も重なり、特に満潮時には沿岸部に被害を与えます。日本では1959年9月に名古屋で5千人の死者を出した伊勢湾台風です。その後名古屋港には防潮堤が作られました。

サイクロン・ナルギスの被害は度々報じられています。被害が大きいガンジスデルタ地域は、世界で最も熱帯低気圧に脆弱な地域と言われています。1991年にはバングラデシュで13万8千人が亡くなりました。2005年にアメリカ南部を襲ったハリケーン・カトリーナは、最低気圧902ヘクトパスカルでした。気象学者は巨大台風が発生するのは地球温暖化の影響と警告しています。

〔熱帯海域で大量に発生する水蒸気の凝結熱によりつくられる低気圧を「熱帯低気圧」といいます。日本付近を短い周期で通過しているのは「温帯低気圧」で、通常は「低気圧」と言っています。熱帯低気圧の呼び名は地域によって異なり、南太平洋とインド洋で発生したものは「サイクロン」(Cyclone回転)。北東太平洋と大西洋で発生するのは「ハリケーン」(Hurricane荒れ狂う)。北西太平洋で発生するのものは「台風」(Typhoon)颱風の略。〕

今月12日に中国四川省の成都付近で起こったM8の「四川大地震」は死者6万人を超す規模になりました。日本では小さな地震が毎日のように起こっています。中国ではたまにしか起こりませんが、大地震の発生は日本よりも多いのです。文字の発達した中国には紀元前1600年ごろにも記録があります。1556年の「華県地震」では83万人が亡くなっています。

現在の地震観測は、各市町村役場や無人山間部などに設置されており、電話線もしくは衛星中継で気象庁のコンピュータに接続されており、瞬時に震源位置が計算されるようになっています。

私が気象観測員の頃は、地震計室といって、外部の空震が伝わらないように二重扉の部屋があり、50倍と1倍の地震計並びに、感震器がありました。50倍地震計は地面が1ミリ動くと記録器の針が5センチ動きます。1倍は地面が動くままに記録します。地震計は厳密に言うと、地面と共に記録紙は動き、記録するペンは動かない仕組みです。

記録紙には地震の規模により、左右と上下の揺れが描かれます。振幅と周期です。地震が発生すると、始めに縦波が伝わって来ます、P(Primary、第一の)波です。暫くして横波が来ます、S(Secondary、第二の)波です。P波が届くと、微小な揺れにも反応する感震器が、どこに居てもわかる様な大きな音でベルを鳴らします。観測員はすばやく地震計室に走りこみ、波形を験測(P波とS波の発振時間と最大振幅を測ること)して気象庁に緊急電報を打ちます。この時の為に年に数回全国的な訓練を繰り返していました。

「緊急地震速報」が運用されています。気象庁のコンピュータが振幅の大きい波を観測した時に「緊急地震速報」が出ますが、S波がくるまでの時間は、震源までの距離が20キロ離れていると、約3秒です。大地震の時は、P波とS波の間隔は短く、ガタンときて数秒でユラユラとゆれますから、速報が出た時はS波が到達するのは当然のことです。速報が遅いと非難されますが、所詮無理な話です。これからも続くでしょう。

揺れを感じたら、海岸では高台へ、室内では丈夫な机の下などに身を守る習慣を付ける事が肝要です。6月1日は「気象記念日」です。明治8年6月1日に、東京で初めて気象観測と地震観測を始めた日です。当日は「電波の日」と重なり影は薄いのですが、気象庁は防災のため、全国で日夜を問わず仕事に励んでいます。