【論説】関西電力高浜原発4号機が県内原発として約1年3カ月ぶりに原子炉を起動、再稼働にこぎ着けた。3号機は6月上旬の予定だ。原発の安全性を巡り、一、二審段階で両極端の判断が示され、関電が目指す安定稼働から程遠い状況が続いてきた。揺れる司法判断は、2011年の東京電力福島第1原発事故がいかに深刻であるかの証左である。

 各種世論調査でも再稼働に反対の声は確実に高まっている。事故時の住民避難など問題が山積する中で、国民の信頼を得ることが困難な状況にある。

 「体制を強化し、安全管理に万全を期してまいります」。関電はこれまで事故・トラブルを起こすたびに同様の文言を繰り返してきた。不退転の決意が本物か、実績で示すしかない。

 高浜原発はこの2年間、原発反対住民らの訴えによって、福井地裁による運転差し止め仮処分、一転取り消し、大津地裁による運転差し止め仮処分、大阪高裁による仮処分取り消しと、司法判断が二転三転した。

 浮かび上がるのは、司法の限界である。原発の安全性、リスクに関しては高度な専門性が要求され、客観判断することは極めて困難だ。地裁では裁判官同士が「二項対立」に陥り、高裁段階では関電主張や国策を丸のみした。司法の独立性に疑問符が付く状況だ。

 過酷事故が発生すれば被害に遭うのは住民である。福島事故は収束のめどさえ立たず、東電や国の責任も曖昧なまま。耐震安全性も専門家の間で見解が大きく分かれる。それでも安倍政権は国内外で原発依存政策を強めるばかりだ。

 国内では九州電力2基と四国電力1基が既に稼働、関電大飯3、4号機は今月中にも原子力規制委員会の審査に合格の見通し。再稼働が本格化する。

 安全確保に万全を期すのは当然だが、高浜4号機は昨年2月20日、再稼働の準備中に1次冷却水漏れが発生、26日に炉を起動させたが3日後緊急停止、今年1月には原発構内でクレーン倒壊事故を起こした。

 規制委の指摘を待つまでもなく、危機意識が欠如しているからだ。長期の運転停止や運転員の経験の少なさは理由にならない。安全管理が99%万全でも1%のミスでほころび、信頼を失う。それが原発の宿命だ。

 2基はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を装荷する。初のプルサーマル発電となるが、制御棒やホウ酸の効きが低下するなどの指摘がある。

 使用済み燃料はどうする。関電は中間貯蔵施設の早期県外立地を県に約束したが適地は未決定だ。行き場のない高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分のほか弾道ミサイル攻撃の抑止力問題も浮上した。

 住民避難計画でも課題が多い。広域避難の困難性に加え、高浜、大飯両原発で同時に事故が起きる事態などは想定されていない。

 安全に対する第一義的な責任は事業者が負う。安全性を主張するなら、自信を持って県民対象に住民説明会を開くべきである。

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