私が生まれて初めて飲んだワインはポートワイン。フランスの子供が飲むように母が水で割ってくれました。

お正月でしかも私の誕生日だったからです。おそらく酒屋さんで貰ったような小さなグラスで飲んだような気がします。ワインと水が会合してゆらゆらとゆらめく液体は明るいルビー色で透明感があり、「ワインは甘くて美味しくて何てきれいな飲み物だろう」と子供心に思いましたね。これが私の記念すべき第一歩。お酒との最初の出会いはとても重要です。後々、トラウマを残すような出会い方は本人にとっても飲まれたお酒にとっても可哀想。私にとってはささやかながら幸福な出会いでした。

でも私が飲んだポートワインはそうです。年がバレるのを覚悟です。国産の赤○ポートワインだったのです。これは本当のポートワインではありません。1855年にマドリッド条約が締結されました。マドリッド条約というのは虚偽または誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する国際条約。例えてみるなら福井県以外の海域で獲れたズワイガニを「越前がに」としてはいけないという感じですね。

ポートワインはこの条約でも守られているワインの仲間。ポルトガルのポルトという港から出荷されたことから名付けられています。ワインの中でも酒精強化ワインというジャンルに入り、その名の通り、アルコール分を強化して保存性を持たせたもの。葡萄を収穫し、醗酵している時に77%のブランデーを加えて熟成させます。

17世紀末からイギリスに輸出する際に長旅に耐えられるようブランデーを加えたという説が有力なようです。途中で高いアルコールを足すと酵母が死んでしまい、アルコール発酵が止まってしまいます。必然的に酵母のエサである、糖分が食べ残されて甘口になり、その味がイギリスで流行ったのも一因です。そんな繋がりでイギリスの三大ブルー・チーズであるスティルトンに甘口のポートワインはよく合います。

で、昔の国産のポートワインに話を戻すと功罪両方があります。まず、罪の部分は赤ワインが甘いという認識を持たせてしまった事。今から10年以上前に空前の赤ワイン・ブームが起こりました。1991年11月にフランス人が毎日こってりとした乳脂肪分の多い食事をしているのに心臓病の死亡率が低い「フレンチ・パラドックス」が注目されました。その鍵は赤ワインにあるとアメリカのテレビ番組で報道されてからこのブームは始まりました。赤ワインを飲んだ事のない方もサプリメント感覚で飲んでいました。しかし、本当の赤ワインはタンニン分があり、赤○ポートに比べるとかなり、渋みを感じます。これでかなりの方が赤ワインからというより、ワインから離れてしまったと思います。

功はやはり、多くの方が赤ワインを飲んでみて、「美味しいな」「食事と合わせると心地よい」と思われた方も少なからずいらっしゃったという事。初めはサプリメントとして飲んだとしても大きな世界が広がったのです。


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ヴィーノ→ノン・ヴィンテージ→淑女のため息→キアンティ→田舎方式→キャヴィア→アペリティフ→ブラインドティスティング→クリスタル→ルビーポート

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