福井市の1世帯当たりの購入額が全国最下位のピーマン。中華料理では欠かせない存在=福井市つくも1丁目のピリケン本店

 1世帯当たりの「油揚げ・がんもどき」購入額が毎年、全国52の県庁所在市・政令指定都市中、1位となっている福井市。一方で、「ピーマン」の購入額は52位と最下位なのをご存じだろうか。福井県民は、あの独特な苦味を持つ“ピーマン嫌い”ということなのか…。真相を探った。

 総務省が毎月発表する家計調査を県が集計したところ、2016年の福井市の1世帯当たりのピーマン購入額は1387円。1位の京都市の2860円の半額以下だった。

 集計した福井県ブランド営業課の担当者は「統計は購入額に基づく順位で、消費量を直接示すものではない。家庭菜園などでの栽培や知り合いから分けてもらうなど、買わずに食べているケースもあるのでは」と話す。確かにピーマン産地県を見ると、高知市は50位、水戸市40位、宮崎市36位と下位となっている。

 では1位の京都市はなぜ? ピーマンの項目には、京野菜の万願寺とうがらしや伏見とうがらしも含んでいる。京都府の流通・ブランド戦略課の担当者は「京の伝統野菜が広く食べられているからではないか」とみている。

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 子どもの嫌いな野菜として挙げられるピーマン。だが、福井市内の学校給食センターの栄養士は「嫌いな食材の上位には入っているが、最近ではむしろナスやゴーヤー、キノコ類が苦手と答える子どもが多い印象」という。

 一方、ピーマンといえば中華料理。ピリケン本店(福井市)の古本秀調理主任は「ピーマンを使う『豚肉とピーマンの炒め』や『酢豚』などは定番の人気メニュー。特に福井の人がピーマン嫌いと思ったことはない」と話す。同店では1カ月に600個のピーマンを使うといい、「料理に彩りを添え、主材料のうまみを引き立てる重要な存在」と語る。

 全国のご当地料理や食情報に詳しいフードジャーナリストのはんつ遠藤さん(東京在住)は「有名な中華街があって、中華料理がよく食べられる横浜市や神戸市は、ピーマン購入額が全国上位です。ピーマンは、中華料理でよく使われますから」。総務省の経済センサスによると、人口10万人当たりの中華料理店の店舗数で福井県は47都道府県中43位(2014年)。ピーマン購入額の順位の低さは、中華料理店が少ない影響があるのかも。

 はんつさんは「逆に、ピーマンは和食ではあまり使われません。おいしい和食がある福井では、あまりなじまない野菜なのでは」という。

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 青果卸売業の福井青果(福井市)のピーマン入荷量は、1991年に445トンだったが年々減少。2011年には236トンまで減った。堀江治夫専務は「消費量が減った影響かもしれない」。しかし11年以降は増加し、15年には411トンまで持ち直している。

 原因は赤や黄色が鮮やかな「パプリカ」の増加だ。15年はピーマンの入荷量の23%をパプリカが占めている。堀江専務は「パプリカは肉厚で甘みが強く、子どもも好んで食べる」と“ピーマン復権”の理由を分析する。

 福井県越前町特産の「ニューピーマン」は、柔らかくて苦味が少ないのが特徴。20年以上前から栽培に携わる山田善右ヱ門さん(85)は「子どもからは生でもおいしいと評判で、ピーマン嫌いという子どもも食べられるほど」と自信満々に語る。大きさは通常の1・5倍で、肉詰めにしてもおいしい。「“ニューピー”を通して、ピーマンに親しみを持ってほしい」と期待を込める。

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