ブックオフコーポレーション相談役取締役の橋本真由美さん

 娘の学費の足しになればと、相模原市で古本を扱うブックオフにパートで勤め始めたのは1990年4月、41歳の時です。5月にオープンする1号店を立ち上げる仕事でした。結婚前の3年間は栄養士として働いていましたが、18年間は専業主婦でした。面接時は「水曜日は午後4時まで」とか「土日は働きません」と条件をつけたのに、すぐに仕事にはまりました。午後4時どころか、午前4時に帰ったこともありますよ。

 なぜそんなに夢中になったのか。奥さんではなく橋本さんと呼ばれるようになり、社会の一員として認められたことや、6万〜7万円でしたけど給料が入ることが本当にうれしかったんです。また、紙やすりで磨いてきれいにした中古の本が売れるのは、育てた子どもを嫁に出すようなうれしさがありました。子育ての終わった主婦はすばらしい戦力ですよ。これからは労働力が足りなくなる時代。子育てを終えた主婦がもっと働きやすい環境になればと思います。

 パートに出たときは、会社の社長になるなんて思ってもいません。目の前のことを必死でやっていたらこうなったんです。経営は全体を見なければいけませんし、会社の方向性を判断しなければならない。私の場合、財務やITはチームで支えてもらえたからできたんです。でも現場なら誰にも負けない自信があります。社会に出たら、誰にも負けないという分野を作ることが大切ですね。

 新規事業の立て直しが必要になった時、取締役でしたが現場で店長として働きました。背中を見せて一緒に働き、その場で叱り、褒めないと人は動かないんです。人の意識が変われば動きが変わる。動きが変われば必ず数字に跳ね返ります。現在も、全国の直営店や加盟店を月に10〜15店舗は回っています。スタッフと同じ黒いポロシャツを着て、現場の問題点を洗い出しています。リモートコントロールでは、現場で起きていることは分からないんです。

 福井は地味な土地柄ですが、底力があり、素直なところが魅力です。福井に若い人がもっと戻ってこられる環境があるといいですね。あと福井の女性には「もっと前に出ようよ」と言いたい。謙虚と言えば聞こえはいいけど、「私はいいです」なんて言わないで、前に出ましょうよ。

 ■ブックオフコーポレーション取締役相談役 橋本真由美さん

 1949年、福井県大野市生まれ。大野高校、一宮女子短大卒。18年間の専業主婦を経て、90年に中古書籍販売などのブックオフコーポレーション1号店にパートとして入社。急成長する会社を支え、94年に取締役、2006年に社長、07年に会長に就任した。13年から相談役。タレント清水国明さんは実弟。

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 福井を訪れる、さまざまな分野で活躍する著名人や識者にインタビューし、福井へのメッセージや専門的な立場からのアドバイスを聞く。

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