研究成果を発表する福井県立大4年の龍田幸奈さん(左)と平修准教授=20日、福井県立大永平寺キャンパス

 老化防止や疲労回復に効果があるとされる物質「還元型コエンザイムQ10(CoQ10)」をマウスに与えると、脳の記憶や運動に関係する部位に還元型CoQ10が増えることを、福井県永平寺町の福井県立大の研究チームが実験で確認し20日、同大永平寺キャンパスで発表した。還元型CoQ10は、サプリメント(健康補助食品)の成分として使われているが、摂取後の具体的な作用は分かっていなかった。アルツハイマー病やパーキンソン病などの治療薬研究に応用が期待できる成果という。

 同大生物資源学部の平修准教授(41)、同学部4年の龍田幸奈さん(22)を中心とするチームで、龍田さんは成果を卒業論文にまとめた。既に日本質量分析学会などで発表しており、海外の化学誌にも今後投稿する。

 分子の重さ(分子量)から、特定の物質がどの場所にどの程度あるかを視覚的に調べる「イメージング質量分析」という手法を活用。1匹当たり20ミリグラム程度の還元型CoQ10を2週間与えたマウスと、与えていないマウスを比較した。運動機能に関する小脳や前脳基底部、情報や記憶に関する脳梁、生命維持に関する脳幹などで還元型CoQ10が増えており、脳全体では約8倍の差があった。

 還元型CoQ10が増えた部位の機能の活性化が期待できるという。今回は比較的若いマウスを使っており、今後は老齢やパーキンソン病のマウスでの検証を進める。平准教授は「脳内で還元型CoQ10が存在する場所はこれまで分かっていなかった。今回の実験で明らかにできたのは非常に大きな発見」と強調した。

 龍田さんは4月から県立大の大学院で研究を続ける。「創薬の可能性につながる成果が出てうれしい。小さな発見かもしれないが、脳の病気で困っている多くの人に生きる希望を持ってほしい」と話した。

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