取り壊しが決まった福井県農業会館の旧館「東館」(手前の3階建てと4階建てのビル)=21日、福井市大手3丁目

 福井市中心部にある福井県農業会館の旧館「東館」が取り壊されることになった。築60年が過ぎ、耐震基準を満たしていない状態が続いていた。土地、建物を所有するJA県中央会、県信連、県経済連は新たな開発はせず当面、跡地を業務車の駐車場として利用していく。ただ福井県庁前の“一等地”ということもあり、将来的には「農協組織の今後の形態も踏まえながら、会館全体の在り方の検討が必要になる」としている。

 21日開かれたJA県中央会の理事会と各連合会の経営管理委員会で、取り壊しを正式に決めた。6月から解体工事に着手し、年内に駐車場を整備する。跡地は約900平方メートルあり、駐車台数は35台を予定している。

 鉄筋コンクリート造りの東館はこれまでに外壁などの改修を行っているものの、主要な構造部分は1953(昭和28)年〜55年に建てられた旧館当時のままという。東側の3階建て部分は53年10月〜54年6月の第1期工事、西側の4階建て部分は54年8月〜55年4月の第2期工事で完成した。

 資料には当時、県内農家1戸当たり2升のコメを集めて建設費の一部に充てたとの記録が残っている。また関係者によると、かつて福井城のお堀だった土地に建設するに当たり、建物を支えるくいに腐りにくい松の木を使っているともいわれる。

 2001年に行った耐震診断で「大地震が起きた場合には倒壊の恐れがある」との結果が出て以来、対応を検討してきた。この間、水道や空調の配管の腐食が進み、天井材が一部崩落したこともあった。2、3階のトイレは雨漏りで現在使えなくなっている。

 東館に隣接して1982年に建てられた9階建ての「本館」は新耐震基準を満たしており、安全性に問題はないという。

 跡地については利用策を検討したが、独自に新たな開発計画を立てるのは現段階で「難しい」と判断。老朽化が著しい中、被害が出る前に取り壊すことを決めた。

 東館には県農政連や県農業再生協議会、県畜産協会の事務局や農協観光などが入居している。いずれも年度内に退去し、県農政連事務局は福井市渕4丁目のJA福井市本店に移転。そのほかは南隣の福井ビル(旧日本生命福井大手ビル)に移る。

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