越前市白山地区に長期滞在している野外のコウノトリ2羽。交尾行動とみられる=22日、同市菖蒲谷町(提供写真)

 福井県越前市白山地区に長期滞在している国の特別天然記念物コウノトリ2羽に交尾行動がみられ、県内で51年ぶりとなる野外個体の産卵に地元住民らの期待が高まっている。ひなが誕生すれば53年ぶり。22日は同市の今井市郎さん(78)が、雄が雌の上に乗る様子を写真に収めた。

 2羽は、2013年に兵庫県朝来市で生まれた3歳の雄と、11年に同県立コウノトリの郷(さと)公園(豊岡市)内の仮設人工巣塔で生まれた5歳の雌とみられる。雄は昨年3月に、その約1カ月後に雌が白山地区に飛来。雄は同年11月にいったん、同地区を離れたが、今月3日に“帰宅”した。2羽は、福井県が飼育しているコウノトリ「ゆうきくん」のケージ(越前市菖蒲谷町)の上に作った巣で過ごしている。

 2羽はこれから本格的な繁殖期に入るとみられる。県によると、雄が戻ってからは、複数回の交尾行動がゆうきくんケージのカメラ画像で確認されているという。

 同市白山・坂口地区の住民でつくる「水辺と生き物を守る農家と市民の会」の恒本明勇会長は「地元住民はみんな産卵を待ち望んでいる」と期待を膨らませる。県の飼育ケージ周辺を巡回している「見守り隊」の加藤信之隊長は「2羽とひなが元気に飛び回る姿を見られるように静かに見守りたい。2羽を刺激しないよう離れた場所から観察してほしい」と呼び掛けている。

 県内では、1964年に小浜市でひな2羽が誕生し、野生種のコウノトリ絶滅前としては国内最後のふ化となった。66年にも同市で産卵が確認されたが無精卵だった。

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