自然の草花や鳥をモチーフにした織物や壁紙に熱心に見入る来場者=25日、福井市美術館

 「モダンデザインの父」と呼ばれる19世紀英国のデザイナー、ウィリアム・モリス(1834〜96年)の内装デザインや思想に迫る企画展「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」(福井新聞社共催)が25日、福井市美術館で開幕した。初日から多くの人が詰め掛け、草花や空を舞う鳥をモチーフにした壁紙や織物、家具、書籍など約100点を堪能、自然の優しさと穏やかさにあふれたモリスのデザインに浸った。

 産業革命による粗悪な大量生産品を否定し、手仕事による美しい日用品を求める「アーツ・アンド・クラフツ運動」を提唱したモリス。その実践と思想は日本の民芸運動をはじめ各国に影響を与えた。

 展示はモリスが内装に携わり、ものづくりに目覚める原点となった新婚時代の家「レッド・ハウス」や生涯愛した桃源郷「ケルムスコット」の風景など、現地を取材した写真家織作峰子さん=石川県小松市出身=の写真や映像とともに、モリスのデザインを時系列で紹介している。

 最初の壁紙「格子垣」(1864年)は、レッド・ハウスの庭にあった格子垣に絡まるバラをヒントに生まれた。格子垣は今も存在し、織作さんが現地で撮影した写真と見比べると、花の色合いやとげの形状を忠実に写し取ったモリスの観察眼の確かさと、デフォルメの巧みさに気付かされる。初日は織作さんがギャラリートークに立ち、今も人気が高い内装用ファブリック「いちご泥棒」(1883年)などのモチーフになった原風景について解説した。

 会場を訪れた福井文化服装学院学校長の朝日恵子さんは「どの作品にもほっとするような穏やかな色使いと、命ある自然の優しさが感じられ、洋の東西を問わず人の心に訴え掛けるものがある」と話していた。

 3月26日まで。一般千円。高校・大学生500円。小中生200円。問い合わせは同美術館=電話0776(33)2990。

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