珠算塾で児童を指導し「子どもの上達が一番のやりがい」と話す清水澄子さん=福井県越前市

 福井県越前市の清水澄子さん(88)は珠算塾で子どもたちを教えて約60年。“珠算指導一筋”に二人三脚で歩んだ夫の亡き後、現在は一人で教室を守っている。80歳を過ぎてからは漢字検定に挑戦し、目下の目標は準1級合格。「好奇心が強いの。どれも面白い」と、はつらつと笑顔を浮かべている。

 清水さんが教える「清水珠算塾」は1957年に、夫の勉さん(享年61)が始めた。口コミで生徒数が増え、澄子さんは60年に勤めていた会社を辞めて勉さんをサポート。必死に勉強して珠算の師範や講師に認定された。

 塾は一時、同市と鯖江市で計8カ所を開き、長男夫婦も一緒に指導に駆け回った。これまでの教え子は4千人以上に上り、親子3代を指導した家もある。生徒が増えたほか長男の結婚もあって自宅の教室が手狭になり、家を2回建て替えた。

 新居の完成を心待ちにしていた勉さんは、病に倒れ90年に亡くなった。新居で一緒に迎えた正月はたった2回。澄子さんは塾の教室に勉さんの写真を飾り、「くじけそうなときは背中を押してもらっている」と目を細める。

 塾で教えるのは、月〜金曜日の夕方から午後8時ごろまで。生徒は主に小学生の約30人。高齢のため新規募集はしていないが、卒業生が「自分の子どもも教えて」と連れて来ることもある。「生徒が上手になって結果を出してくれるのがうれしい」。生徒の写真は大切に保管している。

 熱を入れているのは珠算塾だけではない。漢字検定はクイズ番組を見て興味を持ち、81歳で初挑戦した。拡大鏡を片手に問題集を読み、70歳を過ぎてから習ったパソコンを駆使して単語カードを手作り。「同じ漢字でも読み方がいくつもあるのが面白い。私にとっては勉強じゃなくて遊びなんです」。3級、準2級と一発合格し、2級は2回目で達成。準1級は4回目の挑戦を終えたところで「何としてでも合格したい」と意気込む。

 ほかにも、そろばんの玉(たま)を使った手芸作品を手掛け、教室の壁には玉を連ねた花の絵や風景画がずらり。ストラップなど小物も作り、生徒たちにプレゼントしてきた。

 「私は好奇心が強くて負けず嫌い」という清水さん。漢字検定は準1級合格の先を見据え、既に1級の問題集に取り組んでいる。「読めない字もあるけど、何でも分かったらつまらない。分からないからこそいいんです」。意欲は増すばかりだ。

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