全焼5棟を含む計10棟を焼いた火災現場=28日午前9時55分ごろ、福井県越前市京町1丁目から撮影

 福井県越前市中心市街地で28日、10棟を焼いた火災。現場は大正、昭和期の古い木造の建物がぎっしりと立ち並び、炎は瞬く間に広がった。長屋のように連なった構造は効果的な消火活動を阻み、鎮火まで4時間以上を費やした。

 同日午前5時45分ごろ、総社通り商店街そばの飲食店の男性から「煙がひどい」と119番通報があった。10分ほどで南越消防組合中消防署の消防車2台が到着。その後も同組合の全署と、市内の消防団9分団から消防車など27台が駆けつけ、計約180人で消火に当たった。

 だが、火はあっという間に屋根を突き破り、隣の建物をのみ込んでいった。散歩中に炎が上がっているのを目にした五十嵐秀樹さん(71)=越前市=は「30分もたたないうちに建物4、5軒に一気に火が広がった」と話した。

 消防署員や団員が建物の壁を壊して消火しようとしても、火は長屋のように連なった屋根をなめるように拡大。消火のために入れるような路地がほぼない上、建物は奥行きがあり、消火活動は難航した。発生から2時間以上経過しても火は収まらず、署員に「はよ水かけてや、(自分の家が)燃えてしまうが」と詰め寄る女性の姿もみられた。

 商店街に並ぶ店舗の多くは、1913年に発生した「大正の大火」以降に建てられた古い木造で、築100年を超す建物や、隣との隙間が10センチ程度の建物もあった。雨水を防ぐために屋根と屋根の隙間をトタンなどでふさぎ、一つの屋根のようにした建物も多く、火の回りが速かった一因とみられる。消火活動の際は、消防署員がトタンをはがし、間から放水する様子もみられた。

 これまで商店街内の飲食店では火の不始末が原因とみられるぼやが時々発生していたという。武生商店街連合会会長で、総社通り商店街振興組合理事長を務める黒田敬さんは「これまで商店街として防火訓練を行ったことはなく、我々の防火意識が低かったのも(被害拡大の)原因かもしれない」と話した。

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