デイサービスから帰宅した男性(手前)を出迎えるケアマネの飛田まゆみさん(左)=福井県坂井市内

 「お父さん、体調はどうですか」。ケアマネジャー(ケアマネ=介護支援専門員)の飛田まゆみさん(54)が、担当して5年になる福井県坂井市の寝たきりの男性(81)に明るく声をかける。介護をする妻(79)にも「お母さん、無理しすぎて倒れたらあかんよ」。男性が熱を出したときも、直接胃に流動食を流し込んで栄養をとる「胃ろう」の器具を付けるときも、妻の不安を取り除くように丁寧に応じてきた。

 ケアマネは、要支援者や要介護者の状態に合わせ、必要なサービスの計画を作成するのが主な業務。月に1回以上、要介護者宅を訪問してニーズや体調を確認、計画を調整する。家族を含めて信頼関係を築きながら、人生の最期まで寄り添う。飛田さんの場合、休日の旅先でも、ご飯の準備中にも電話に出て、相談に乗っている。「在宅で生き抜くお手伝いができたら」

 しかし、ケアマネの中には親身になりすぎて仕事の枠を超えてしまい、精神的に追いつめられるケースも少なくない。県介護支援専門員協会の事務局を務める天谷早苗さんは「どこで線を引くか、自身をコントロールする力も必要」と強調する。

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 県内で働くケアマネは高齢化の進展に伴い年々増加し、2015年度は約1100人。居宅介護支援事業所に所属するケアマネは、1人あたり要介護者を原則35人まで受け持つことができ、1〜2人の小規模事業所は県内に約100カ所ある。

 小規模事業所のケアマネは、仕事の悩みを相談する人が限られ、自身の技能を確かめる機会も少ない。県は昨年度から小規模事業所に経験豊かなケアマネを派遣するなど支援している。

 県介護支援専門員協会によると、ケアマネは大まかに介護福祉士などの資格を持つ福祉系と、看護師などの資格を持つ医療系に分けられ、県内は8割以上が福祉系という。全国的に在宅医療が進む中、天谷さんは「ケアマネは医療への理解を深める必要があり、医師との連携も課題」と話す。国は本年度、ケアマネの研修制度を見直し、疾患や認知症、看取(みと)りなどについて学ぶ医療系の時間を増やした。

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 あわら市と坂井市では医師、訪問看護師、ケアマネ、ヘルパー、薬剤師など多職種が連携し、08年に「坂井地区在宅ケアネット」が発足した。インターネットのシステムを活用して患者の細かな情報を共有している。ケアマネが患者や家族と信頼関係を築いたことで知り得た情報が、在宅医療を受ける患者を支援するそれぞれのチームで生かされている。

 同ネットにも関わっている飛田さんは、ケアマネの役割について「要介護者の代弁者として思いをくみ取るだけでなく、チームで要介護者を支えるための要の存在になるべきだ」と指摘している。

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