記者会見で喜びを語る藤田宜永さん=3日夜、東京都千代田区の帝国ホテル東京

 第51回吉川英治文学賞(吉川英治国民文化振興会主催)の発表会が3日夜、東京都内のホテルで開かれ、福井市出身の直木賞作家、藤田宜永さん(66)=長野県軽井沢町在住=の「大雪物語」(講談社)が選ばれた。

 受賞作は2016年11月に刊行。記録的な積雪に見舞われた別荘地の長野県K町を舞台にした連作短編集。遺体搬送車の運転手と遺族の女性が雪道で立ち往生したことから物語が始まる「墓掘り」や孤立した町に派遣された自衛隊員と失踪していた姉との再会を描いた「わだかまり」など家族や男女のドラマ6編からなる。豪雪にならなければ出会うことのなかった奇跡の積み重ねと心の通い合いを丁寧につづった。

 藤田さんは記者会見で「青天のへきれきで本当に驚いている。小説デビューして30年目に出した本が受賞し、これまでの思い出がよみがえってきた」と喜びを語った。
 作品は自身が住む軽井沢町で14年2月、豪雪になった体験を基に描かれており、「町の機能がまひし、5日間閉じ込められた。日常を離れた経験がこの作品につながった」と語った。今後については「幅広いジャンルで書きたいものを書いていきたい」と抱負を述べた。

 吉川英治文学賞は1967年に設置されて以来、年1回発表。本県関係ではおおい町出身の直木賞作家、故水上勉さんが「北国の女の物語」と「兵卒の鬃(たてがみ)」で73年に受賞している。賞金は300万円。

 贈呈式は4月11日、東京都内のホテルで行われる。

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