大河ドラマ誘致主人公地図

最近の大河ドラマ主人公

 日曜夜おなじみのNHK大河ドラマ。福井県は2015年から県を挙げた誘致活動を展開しているが、熱心なのは福井だけではない。福井新聞の調べでは、福井以外に少なくとも25にも及ぶ誘致組織が存在。百億円規模とされる経済効果や、住民の地域文化への関心の高まり、地元の偉人の顕彰を旗印にしのぎを削る。群雄割拠の覇者となるのは? 傾向と対策はあるのか—。

 調べてみたら、誘致組織は北海道から鹿児島県まで国内全域にあり、地元ゆかりの主人公を掲げている。主な活動は▽知名度向上▽署名活動▽NHKへの陳情—の三つだ。19年まではドラマのテーマが決まっているため、20年以降の誘致実現を目指している。

 幕末の備中松山藩(岡山県)で藩政改革に尽力した山田方谷(やまだほうこく)は、ANAホールディングスの大橋洋治相談役や橋本徹・日本政策投資銀行相談役ら地元出身の著名人が熱心で、77万筆もの署名を集めた。大分県の戦国大名大友宗麟(おおともそうりん)の誘致組織は、400ページにも及ぶ自作の脚本案をつくるほどの熱の入れようだ。

 平安末期の木曾義仲(きそよしなか)・巴御前(ともえごぜん)は、富山県小矢部市などゆかりの地がある6県41団体の広域連携が強み。徳川家康の外交顧問三浦按針(みうらあんじん)(ウィリアム・アダムス)、家康の孫で高遠藩主や会津藩主を務めた保科正之(ほしなまさゆき)も、県域をまたぎ連携している。

 県内で競い合う例もある。千葉県は江戸時代の商人、測量家伊能忠敬(いのうただたか)、戦国武将で大多喜藩の藩主としても有名な本多忠勝(ほんだただかつ)・忠朝(ただとも)親子、戦国大名として名をはせた里見(さとみ)一族が覇権を争う。里見氏大河ドラマ化実行委の里見香華(こうけ)会長は「三つどもえの中では負けていられない」と息巻く。

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 ドラマ化決定の鍵は何か。鹿児島県の担当者は「民間の力が大きい」と明かす。「翔ぶが如く」「篤姫」など同県を舞台にしたドラマの縁を生かし、NHKと民間組織の太いパイプが西郷隆盛(さいごうたかもり)を主人公にした「西郷(せご)どん」(18年予定)につながったとみる。

 ドラマ実現の壁は思わぬところにもある。戦国期の鉄砲の名手、雑賀孫市(さいかまごいち)を通してまちづくりに取り組む和歌山市の団体の代表は「ドラマ本編の後に流れる、ゆかりの地を紹介するコーナーを、孫市単体では年50回分用意できない」と単独での誘致には二の足を踏む。

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 誘致活動とドラマ化は密接な関係があるのか。群馬大社会情報学部の北村純准教授(行政学)が15年に著した論文によれば、01〜17年の作品で誘致活動が実ったとみられるのは3分の1程度。「誘致活動による採択の可能性はそれほど高くない」との見方だ。

 今年の大河ドラマ「おんな城主直虎」の舞台となっている浜松市の鈴木康友市長は、ホームページ上のエッセーに「大掛かりな陳情など全くしませんでしたが、いつの間にか放映が決まっていました」と記している。熱心な活動が実った例もあれば、意表を突く主人公の登場で実現したケースもあるなど規則性はそれほどないのが現実だ。

 NHK広報部は「視聴者のニーズや時代の動きをくみ取り、1年にわたって視聴者の興味を引きつけられる主人公は誰かを考慮している」とした上で、「総合的に決定している」とコメントしている。

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