「日米が協力して拉致問題の解決に向かうべき」と話す島田洋一教授=福井県立大永平寺キャンパス

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏が殺害された事件について、北朝鮮の国家的犯罪と指摘する声が強い。拉致被害者の支援組織「救う会」副会長の島田洋一福井県立大教授は「見せしめのための北朝鮮による典型的なテロだろう」とした上で、拉致については「救う会、拉致救出議員連盟、拉致被害者家族会が訪米し、トランプ政権幹部に北朝鮮への圧力強化を要望することを計画している」と述べた。一問一答は次の通り。

 —正男氏の殺害をどうみているか。

 「北朝鮮を裏切るとこうなるぞ、という国家テロだろう。猛毒の神経剤VXが使われていることもあり、トランプ米政権が『テロ支援国家』に再指定する検討を始めたのは妥当」

 —正男氏は権力継承とは距離を置いてきた。

 「2013年には北朝鮮の事実上ナンバー2だった張成沢(チャンソンテク)氏が処刑された。中国との経済パイプ役を果たしてきた張氏は中国と組んで、正男氏をトップに据えるというもくろみがあった可能性がある」

 —幹部を相次いで粛清している正恩氏は追い詰められているようにも見える。

 「いつクーデターに遭うかもしれないという恐れが常にあるのだろう。側近はライバルを蹴落とすために告げ口合戦をしている。ただ正恩氏が一番恐れているのは中国ではないか。信頼できるのは妹と奥さんぐらいだろう」

 —拉致問題への影響は。

 「拉致された全員が帰ってきて、しかも自由に行ったり来たりできる最終的解決には、正恩体制を崩壊させるしかない。ただそれまでじっとしているわけにもいかない。今日本は北朝鮮への独自制裁を強化している。被害者を返せば、制裁の一部を解除するといった駆け引きで、1人でも2人でも取り戻すべきだ」

 —米国の拉致に対する認識は。

 「昨年9月、米下院は北朝鮮に拉致された可能性がある米国人について、国務省などに調査を尽くすよう促す決議案を可決した。安倍晋三首相とトランプ大統領の共同声明の中でも、早期解決の重要性と、日米韓3カ国の協力の重要性を確認している。米国にとっても人ごとではなくなっている」

 「家族会や救う会、拉致議連で渡米することを計画している。北朝鮮とかかわりが深い中国の銀行も含めた金融制裁など、北朝鮮への圧力強化を求めていきたい」

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