「君の膵臓をたべたい」(双葉社発行)のカバーイラスト。足羽川の風景を左右反転させて描いている

「君の膵臓をたべたい」のカバーイラストの元になった足羽川の風景=福井市毛矢1丁目

 「本屋大賞2016」2位となった青春小説「君の膵臓をたべたい」(住野よる著、双葉社)の本カバーを、爽やかな絵が飾っている。実は福井市の幸橋南詰から見える足羽川の風景を左右反転させた絵。描いたのは、同市出身の男性イラストレーター、loundraw(ラウンドロー)さん(22)で「足羽川は青春小説にふさわしい爽やかな場所。純粋で素朴な主人公とヒロインの雰囲気を絵に込めた」と思いを語った。

 ラウンドローさんは、インターネットのサイトに投稿した作品が出版社の編集者の目に留まり、県外に進学した大学1年のころからカバーイラストの依頼を受けるようになった。絵は独学で、パソコンで画像処理や描画ソフトなどを駆使して描く。東野圭吾さんの「恋のゴンドラ」、朝井リョウさんの「星やどりの声」のカバーも手掛けた。

 「君の膵臓をたべたい」は住野さんのデビュー作。編集者から「タイトルを読んでホラーだと思われないよう、青春100パーセントの絵にしてほしい」と依頼された。真っ先に思い浮かんだのが桜並木が美しい足羽川。幼い頃から祭りや花火の度に訪れた場所で、「ビジュアルはもちろん、個人的にも好きな場所。爽やかな青春が似合う」と題材に選んだ。物語のヒロインの名前が「桜良(さくら)」だったこともある。

 イラストには欄干に寄りかかる主人公とヒロインのバックに、満開の桜並木が描かれている。奥には大きな川と鉄橋があり、青空が広がる。2人の立ち位置や、何げない風景の中にある美しさにもこだわった。「読み終わった後に改めてイラストを見てもらい、2人の日常にあったかもしれない1シーンとして感じてもらいたかった」

 双葉社によると、同作品は75万部を突破。「タイトルと美しいカバーに引かれて購入した」「イラストがさわやかできれい」という読者の声が多数寄せられているという。

 「カバーを手掛けた本がベストセラーとなるなんて光栄」と話すラウンドローさん。同作品は漫画化され、7月末には実写映画も公開する。「足羽川でロケをしてもらえたらうれしい」とも話している。

関連記事
あわせて読みたい