全米チアダンス選手権大会で5連覇を果たしたJETSの3年生部員と五十嵐裕子顧問(前列中央)=9日、福井市の福井商業高

 ダンス経験者と初心者の割合は半々。学業と部活動に懸ける思いも半々。“普通”の女子高生たちが、チアダンスの本場・米国で頂点に立つ強さの秘密は何なのか。全米選手権5連覇を成し遂げた福井商業高チアリーダー部「JETS」9代目の部員から見えてくるのは、具体的な目標を掲げ、それに向けて自ら考えて練習に励む姿勢だ。

 JETSはインターナショナル・チームパフォーマンス部門に出場。米の32チームから予選を突破した4チームと、日本の2チームが決勝に臨んだ。ポン、ヒップホップ、ジャズ、ラインダンスを連続して踊り、全体の構成や振り付け、視覚効果、一体感などを点数で競った。

 大会に同行した日本チアダンス協会関係者は「米国の選手は一人一人の技術レベルが高いが、JETSにはチームとしてまとまった時の統一感やパワーがあった。音楽と合った振り付けも観客を引きつけた」と話す。JETSの演技を目的に訪れる米国人観客もいるといい、「登場前から会場は盛り上がっていた」。

 JETSの五十嵐裕子顧問は「この子たちの脳をだまして『できない』から『できる』へと気持ちを転換させることを意識している」と話す。著名人の成功例を言い聞かせたり、失敗を乗り越えたストーリーの映画を見せたりしているという。部員がそれぞれ具体的な夢を書く「夢ノート」はJETS発足時から継続している。文字に残し、はっきりとした目標をイメージさせることが狙いだ。

 9代目の3年生たちは「全米大会のために3年間練習し、優勝したいという強い気持ちがあった」と声をそろえる。吉川真世さんは「私たちの代は技術や精神面で『史上最悪』と言われ続けた。だからこそ、みんなが全米制覇するために何が必要かを真剣に考えた」と打ち明ける。日本チアダンス協会関係者は「一人一人の目標が明確で、目標に向かって忠実に取り組む姿勢が受け継がれている」と分析する。

 技術面の高さは、練習の量と質にある。平日は朝の練習から始まり、昼休み、部活動、自主練習と続く。3年の五嶋友加里さんは「遊ぶのは卒業後でもできるけれど、みんなとチアに打ち込めるのは今しかないから」。

 部活動中は、練習内容や時間配分を考える「練習リーダー」がいる。日替わりで担当を替えているのは、夢をかなえるために何が足りないのか、どんな練習が必要なのかそれぞれに考えさせるためだ。

 五十嵐顧問もダンス未経験者。ダンスに限らず県内外の強豪チームに足を運び、指導法を探ってきた。「目指しているのは、見ている人に元気やパワーを与える演技で、勝ち負けにこだわっているわけじゃない。結果は後から付いてくるもの」とし「JETSで学んだことは必ず将来に役に立つ。自信を持って自分の足で着実に歩んでほしい」。JETSのチーム名の由来のごとく、生徒たちがジェット噴射の勢いで成長し、社会で活躍することを期待している。

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