転卵とみられる行動をみせる野外のコウノトリの雌(左)と雄=9日、福井県越前市菖蒲谷町(福井県提供)

 福井県越前市白山地区に滞在している国の特別天然記念物コウノトリの野外のペアについて福井県は10日、本格的な抱卵に入ったとみられると発表した。有精卵であれば4月初めにもひなが誕生する見込みで、県内での野外繁殖は1964年の小浜市以来53年ぶりとなる。71年に国内の野生種が絶滅して以降、兵庫県豊岡市周辺以外では初めての例になる可能性がある。

 ペアは、2013年に兵庫県朝来市で放鳥された3歳の雄と、11年に同県立コウノトリの郷(さと)公園(同県豊岡市)内の人工巣塔を巣立った5歳の雌。白山地区にある飼育ケージの上にある巣の下で2月25〜28日に割れた卵が相次いで見つかっていた。

 県自然環境課などが目視やケージ近くのカメラの映像で調べたデータによると、3日ごろから雌雄のどちらかが巣に伏せている時間が長くなっており、同日以降に産卵したとみられる。6日から9日にかけて1日当たり8〜9時間調べた結果、巣に伏せている時間の割合が85〜99%に達した。

 卵の中の胚が卵殻にくっつかないように、親鳥がくちばしで卵を転がす「転卵」のような行動も確認されており、郷公園などと協議の上で本格的な抱卵に入ったと推定した。同課は「親鳥を驚かせないように巣から150メートル以上離れて撮影、観察してほしい」と呼び掛けている。

 野外のコウノトリでは今年、徳島県鳴門市に定着しているペアも産卵し本格的な抱卵に入っている。順調に進めば3月下旬にもひなが生まれるとみられる。

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