患者目線でのがん情報の発信を訴える濱本満紀さん=福井市のハピリン

 日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる現代。がん患者や家族はわらにもすがる思いでインターネットなどで情報を求めることが多いが、信頼性が疑われるサイトや記事を装った広告サイトは少なくない。がん治療のよりよい環境づくりを目指しこのほど福井市で講演したNPO法人「がんと共に生きる会」(大阪市)副理事長の濱本満紀さん(58)は「納得して治療を受けるため、信頼できる情報源から過不足なく知識を得てほしい」と呼び掛けた。

 同会は、がん患者やその家族、遺族らで組織し、新薬のスムーズな導入や専門医の増加などを通し、がん治療の地域・施設間格差の是正や患者らの支援に取り組んでいる。

 ネット上の医療情報をめぐっては、ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する「WELQ(ウェルク)」で内容の誤りが多数見つかり問題化している。情報の入手にはネットを使うケースが最も多いという。実際に「がん」「治る」のワードを入れて検索すると、50万件以上がヒットする。濱本さんは「十数年前には『がん難民』という言葉があったが、今は情報の奔流の中で浮き沈みするような『流民』の時代」と現状を説いた。

 「患者目線のがん情報の発信と活用が重要」とし、総合情報サイト「大阪がんええナビ」の運営にも参加。大阪府立成人病センターと琉球大医学部附属病院の協力を得て、大阪府内のがん拠点病院の診療や相談・支援機能、緩和ケアの情報のほか、患者や医療関係者らによるコラムなどを掲載、患者にとって治療の参考になるコンテンツを充実させている。福井県内の情報は、県がん診療連携協議会が作成し県のホームページでも公開している「がん情報ふくい」に詳しいと紹介した。

 「アクセス数の多い情報が必ずしも信頼できるとは限らない」とくぎを刺す。「自分が受ける医療を自身で納得して選択したという経験がないとあとで後悔する。ずっとつらい思いを引きずって生きていかねばならない」とも話し、情報をうのみにしないスタンスや正確な情報を見極める目の必要性を訴えた。

 講演は県緩和医療研究会の公開講座として行われた。

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