あわら市出身の医師、藤野厳九郎(一八七四—一九四五)と中国の文豪、魯迅(一八八一—一九三六)の惜別百年を記念し、交流と二人の研究をまとめた「藤野先生と魯迅—惜別百年」が発刊されたと、あわら市が二十日発表した。東北大との共同編集で、師弟愛の逸話を研究面で裏付けるほか、藤野厳九郎の人となりが詳しく記された一冊となっている。

 同書は、仙台医学専門学校(現東北大医学部)の講師だった藤野と、留学生、魯迅が仙台で別れてから昨年が百年に当たることから、あわら市と市日中友好協会、東北大魯迅研究プロジェクトが刊行委員会(代表、大村泉東北大大学院教授)をつくり準備を進めてきた。

 二人に関する出版物は、魯迅を中心に据えたものが多かったが、同書は藤野厳九郎を通じて「魯迅」を見る—というコンセプトで編集、日中の約三十人が執筆。東北大教授陣らの原稿が、魯迅の解剖学ノート研究を題材とした学術論文などが柱となっているのに対し、第一章「あわらと藤野先生」では、藤野の生い立ちや人となり、晩年の藤野を分かりやすく紹介。また第五章「魯迅とあわら市」では、師弟愛の逸話に基づく日中友好の軌跡が記されている。

 本県関係の執筆陣では、藤野研究家で知られる泉彪之助・県立大名誉教授や元芦原町長の齊藤五郎右エ門氏らのほか、巻頭では松木幹夫市長や西川一誠知事があいさつ文を寄せ、第六章にはあわら市の紹介もある。

 表紙カバーは、魯迅の「脈管学ノート」の表紙デザインをそのまま引用、昨年十二月訪中した市親善少年使節団の芦原中生徒の座談会も掲載されている。松木市長は「東北大の協力を得て立派なものができた。有名な師弟愛の話だけでなく、藤野先生の全体像がよく理解できると思う」と話している。

 同書はB5判、二百二十四ページ。東北大学出版会から千二百部を発行。