2017年度県立高一般入試に臨む受験生。18年度入試から英検の取得級に応じて英語の点数が加算される=7日、福井県越前市の武生高

 福井県教委は現在の中学2年生が受験する2018年度の県立高一般入試から、英語の学力検査で実用英語技能検定(英検)の取得級に応じて点数を加算する。取得者は最大15点のアドバンテージがあり、合否への影響は小さくない。「試験前から点数をもらえるのはありがたい」「英検は学校で習わない分野。加点は不公平」などと保護者の受け止め方はさまざま。学習塾では英検対策講座を設ける動きも出ている。

 ■グローバル化見据え

 英語の学力検査は3級取得者に5点、準2級10点、2級15点を加算し、115点満点となる。5点は学力検査の1・5問分に相当する。英検を実施している日本英語検定協会(本部東京)によると、3級は中卒、準2級は高2、2級は高卒レベル。

 外部検定を活用するのは、「読む・書く・聞く・話す」の四つの技能の習得を促すのが狙い。県教委の担当者は「全県的に英語教育に力を入れ、グローバル化した社会に対応できる人材を育てていきたい」と話す。

 15年度の公立中学校卒業生のうち、英検3級相当以上の力を持つ生徒の割合は42・7%だった。県教委は、現中2が卒業する17年度末には目標値を50%以上と掲げている。国公私立の中3と高2を対象に、英検などの受験料を補助している。

 ■“格差”生まれる?

 県内の中学校に勤める英語教諭は「学校では学習すべき内容がぎっしり詰まっていて、英検対策をする時間がない。塾に通いなさいと言っているようなもの」と打ち明ける。経済的理由で塾に通えない生徒もいるといい、「余裕のある家庭の生徒が有利になるのでは」と危惧する。

 受験前から最大15点の差が出るとあって保護者の関心は高い。準2級を取得した娘がいる保護者は「小さい頃から英語教室に通わせてきた。次は2級を取って点数を稼がなきゃ」と話す。一方、中2の息子がいる鯖江市の男性(41)は「大学入試での英検の活用なら理解できるが、学校で習わない部分で差がつくなんて不公平」と批判的だ。

 今西数英教室(福井市)は主に小中学生対象の英検対策講座を開設する予定で、同教室に通う全中3生の準2級取得を目指すという。今西淳二塾長は「入試の合否ボーダーラインでは5点の間にかなりの生徒がひしめき合っている。英検を取得しているかどうかで大きな差が出るはず」と話し、「教室として英検対策をやらざるを得ない状況」と漏らす。

 ■高校につなぐ意識を

 日本英語検定協会の16年度調査によると、英検の結果を合否判定に反映している全国の公立高校・高専は127校。大阪府教委は今春の公立高一般入試から、英検など四つの外部検定を活用。英検準1級取得者は、英語が満点の90点、2級は72点と確定している。2級の場合はテストの点数か72点か高い方が採用される。福井県の実施方法について府教委は「1、2点を争う入試で加点方式を取れば、英語が得意な子が合格しやすくなるのでは」と指摘する。

 英語教育が専門の伊達正起・福井大教育学部教授は「学校の授業と英検対策は、それぞれ異なる知識とスキルが身に付く」とした上で、「級の取得が目的となれば目先の学びになってしまう。英語力を向上させるには、高校の授業に結び付けることが大切」と話している。

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