「トランプ大統領とこれからの世界~日本外交の挑戦」と題して講演する藪中三十二氏=23日、福井新聞社・風の森ホール

 福井新聞政経懇話会の第426回3月例会が23日、福井市の福井新聞社・風の森ホールで開かれた。元外務事務次官で立命館大特別招聘教授の藪中三十二氏が「トランプ大統領とこれからの世界〜日本外交の挑戦」と題して講演し、世界情勢を持論を交えて解説。今後の日本の外交政策の在り方について「日米同盟は大切で堅持しなくてはならないが、中国との協力関係も模索し、東アジアの平和を日本がリードすることを期待する」と述べた。

 講演要旨は次の通り。

 一、米国のトランプ大統領は、イスラム圏からの入国を規制しようとするなどしている。外交でも何を基本としているのか分からない。日本は米国に安全保障を委ねている面があるが、その米国が変わってきた。日米同盟がこれまで通りで変わらないという考えは危険だ。

 一、米国と中国の関係は、良くなっていく可能性が高い。トランプ大統領は選挙戦で、高関税を課す「為替操作国」に中国を認定するとしていたが、おそらく見送るだろう。中国の市場で利益を上げている米国の企業は多い。米国が中国と貿易戦争をするのは、企業にとって良いことではない。

 一、北朝鮮はミサイルの精度を向上させ、核兵器の原料となる高濃縮ウランの開発も進めている。こういった動きにトランプ政権は、軍事力の行使も排除しない考えを表明した。日本は、米国や中国と本格的な安全保障の議論をしなくてはならない。

 一、中国と日本は尖閣諸島の問題はあるが、東シナ海のガス田共同開発を進めるべきだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)も日本が中国と良い関係を結ぶことを期待している。日米同盟は大切だが、米国が変化する中でそれだけに頼るのはどうか。中国との協力関係を模索することが、結果的に日本の安全保障にもなる。

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