福井県立大と農家、酒蔵が連携して開発した大吟醸「稲越」を前に笑顔をみせる関係者=22日、福井県立大永平寺キャンパス地域経済研究所

 福井県立大生物資源学部が開発した「福井県大水稲1号」を農薬、化学肥料を使わずに育てた有機栽培米を原料にした純米大吟醸酒「稲越(いなごえ)」が完成し22日、福井県永平寺町の同大永平寺キャンパスで披露された。水稲の種の殺菌処理には、新種の微生物を活用する新技術を用いた。27日から一般販売される。

 同大が、県内のコメ農家や酒蔵と取り組んだ地域連携事業の成果。県大水稲1号を原料にした日本酒は昨年、試験醸造した純米吟醸酒「県大1号α」「県大1号β」に続き3種目で、醸造はいずれも福井県坂井市丸岡町の久保田酒造が担った。

 県大水稲1号のコメは大粒で、1・9ミリ未満のくず米になる比率がコシヒカリより低い。茎が太く、倒伏しにくい特長もある。同大の三浦孝太郎講師が、コシヒカリをベースに「変異体育種」という方法で開発した。

 種の殺菌処理に活用した新種の微生物は、同大の木元久教授が永平寺町内で発見。イネいもち病菌や、イネばか苗病菌など多くの植物病原菌類に効き目がある上、根にすみ着いて稲の成長を促す作用があることが分かった。

 この微生物を使って発芽させ、育苗した県大水稲1号は昨年、あわら市と大野市の農家が計約40アールの水田に作付け。有機栽培では非常に高い10アール当たり502キロ(約8・4俵)の収量があった。

 県大水稲1号は食用米として開発されたが、まだ品種未登録で市場に流通できない。このため昨年から酒米への応用研究にも取り組んできた。

 大吟醸「稲越」の精米歩合は40%で、アルコール度16度。福井県越前市の人間国宝9代目岩野市兵衛さんの越前和紙を使うなど、ラベルにもこだわった。

 久保田酒造の久保田直邦社長は「若い人向けのクセのないすっきりタイプの酒になった」と話した。1500本限定で720ミリリットル税込み3千円。県内の酒販店や同酒造のインターネットサイトで販売する。

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