秋から冬にかけて「輪島上空五千メートルにマイナス30度の寒気が入り」などと予報士が気象解説をします。上空の気温の測り方を話す前に、地上天気図の「からくり」について若干話したいと思います。

 新聞やテレビでは、地上天気図で気圧配置と天気予報を解説しています。いうまでもなく天気の現状を眼に見える形で読者や視聴者にお知らせするためです。

「地上天気図」は実況(気象台での観測値)を基に、補正や推定値を使います。観測所はさまざまな海抜の所にありますし、暖かいところから極寒の地にもあります。気圧は全て海面上の値に較正し、気温零度に補正して、地球上全ての観測所を同じ条件にします。これを海面較正と温度補正と言っています。地上天気図は地上を表しているのではなく、海面を仮定して地球全体の気温が零度として等圧線が描かれているのです。

 はじめの「輪島上空・・・」ですが、石川県の輪島市には測候所があり、日本時間9時と21時に高層気象観測をしています。高層気象観測は、気圧・気温・湿度等の測定センサと、観測データを送信する無線機からなっているラジオゾンデを使います。これをゴム気球に付けて放ち、上昇しながらデータを取得して観測所に送信します。気球は浮力によって上昇速度がほぼ一定です。1日2回放球しますが、500hPa(ヘクトバスカル)の高度を通過するのが0時と12時UTC(協定世界時)になるように、観測時刻30分前になると全世界いっせいに気球を放っています。風向風速は気球の移動方向と移動速度から計算します。

 ラジオゾンデは気球が大きく膨らんで破裂するまで観測を続けます。破裂した後はほとんどが海上に落下しますが、風向きによっては地上に落ちることもあります。危険防止のためにパラシュートがつけてあり、ゆっくりと下降するようになっています。日本は全国16ヶ所と海洋観測船4隻、さらに南極で観測しています。

 高層観測のデータを使って高層天気図を作ります。地上天気図と比べますと作り方が異なります。地上天気図は等圧線を海面の値で表現していますが。高層天気図は特定の気圧の高度で表しています。これを等圧面天気図と言い、地上天気図の等圧線にたいして、等高度線を引きます。850・700・500・300hPa面が一般的ですが、航空機用にはさらに200・100hPaなどあります。

 輪島上空500hPaの高度は、夏場は5800m、冬場は5400mぐらいですから、予報解説では500hPaの気温を指しています。

 等圧面天気図にはいくつかの利点があります。気体の特性ですが、等圧面はほとんど水平とみなすことができます、つぎに二つの等圧面の間の大気の質量は一定であること、さらに二つの面の高度差はその気層の平均気温を表しているのです。

 このような資料を基にコンピュターを使って天気予報を出しています。

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