大阪高裁で再稼働が認められた高浜電力3,4号機=手前、奥は1、2号機=福井県高浜町

 稼働中の原発を初めて司法判断で止めた昨年3月の大津地裁の仮処分決定から1年余り。関西電力は福井県高浜町の高浜原発3、4号機の早期再稼働に向け、大阪高裁での抗告審に照準を合わせてきた。大津地裁の仮処分決定の判断後、同じ裁判官で審理された異議審は早期の終結を求めたのと対照的に、高裁では大量の書面を提出。審理に臨む意気込みの地裁段階との違いを「高裁なら逆転すると思い、早く判断を求めたのだろう」と住民側は読んでいた。

 原発の差し止めが争われた裁判で住民側の主張を認めた高裁判断はない。地裁での敗訴後、関電は原子力事業本部に訴訟の専従チームを新設し、弁護団は8人から12人に増員。抗告審では千ページを超える書面を提出し、うち8割は昨年10月の初審尋までに済ませた。主張、立証の不足を再三指摘された地裁での審理とは姿勢の違いが際立った。

 書面の最終提出期限だった昨年12月26日。関電は5通の書面を提出したが、同じ日に住民側が出した書面に対してもすぐに追加の反論を高裁に送付し、締め切り間際まで攻防を繰り広げた。

 高裁での早期判断を求める関電の姿勢は大津地裁の段階からも顕著だった。昨年3月の仮処分決定後、同じ裁判長が担当した異議審では初回の審尋から「今日で終結させてほしい」と要請した。

 「関電は地裁での審理を見切り、言いたいことは高裁に移った後で言い尽くし、早期に決定を得る方針だ」。住民側の関係者は関電側の狙いをそう分析していた。

 長年争われてきた原子力関連の裁判は地裁段階で住民側の訴えが認められても高裁、最高裁では勝訴のハードルが高くなる経緯をたどってきた。28日の決定は、福島の事故後も住民側にとって厳しい司法の現状を印象付ける結果となった。

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