みこしに載せられ、住民に運ばれる大日如来坐像=2日、福井県越前町

 戦国時代に戦禍を逃れて遷座して以降、福井県越前町内郡の日吉神社に安置されている3体の仏像が2日、14年ぶりにかつて安置されていた同町朝日の朝日観音本堂に“里帰り”した。全国でも珍しい伝統行事で、地元住民らが歴史に思いをはせながら、遷座を行った。

 朝日観音の仏事をつかさどる福通寺と内郡、朝日の両区民は、同観音本堂に安置されている泰澄大師作の秘仏「正観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)立像」(県指定文化財)を33年に1度、本開扉している。その中間の年に中開扉を行っており、開扉時は日吉神社の仏像を里帰りさせることが伝統になっている。

 次回の中開扉は2019年の予定だったが、今年は同観音開創1300年の節目に当たることから、2年早め今月7〜9日に行うことにしている。

 日吉神社に仏像を安置しているのは戦国時代、一向一揆の焼き打ちから守るため住民たちが運び隠したのが発端。中開扉時は、安置されている5体のうち、かつて福通寺の本尊だったとされる大日如来坐像(県指定文化財)、地蔵菩薩立像、十一面観音菩薩立像の3体が里帰りするしきたりになっている。

 2日は、両区の住民ら約40人が集まり、遷座作業を行った。外気に触れぬよう白い布で仏像の全身を覆った後、みこしに載せ日吉神社を出発。集落内の道を通り約50分かけ600メートルほど先の同観音本堂まで歩いて運んだ。沿道には多くの住民が出迎え、手を合わせたり、携帯電話で写真に収めたりする姿が見られた。

 開扉の実行委員長を務める佐々木博隆・朝日区長は「天気に恵まれ、事故なくお運びすることができたのも大日如来様のお力だろうか。久々の里帰りなので、ゆっくりしていただければ」と話していた。

 中開扉は7〜9日午前8時半〜午後5時(9日は午後4時半まで)。9日に3体の仏像は日吉神社に戻される。また、8日の午前10時からと午後2時からは諸願成就祈願の護摩供(ごまく)、9日正午からは約500人の子どもたちが参加する稚児行列が行われる。

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