福井地方裁判所

 福井県若狭町上中中の新任教諭だった嶋田友生(ともお)さん=当時(27)=が2014年に長時間過重労働で自殺したのは、校長が安全配慮義務を怠ったためとして、父親が県と町に約1億100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が5日、福井地裁(林潤裁判長)であった。父富士男さん(56)=美浜町=は「真実が明らかにならなければ息子の魂が浮かばれない」と意見陳述した。県と町は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 富士男さんは「管理者(校長)や町教委などは真実を明らかにする義務がある。一人の新任教員の命をどう捉えているのかを改めて問いたい。(被告は)息子の死に向かい合うことができなくて、生徒に命の大切さを説くことができるのか」と訴えた。

 原告が主張する早朝出勤や持ち帰り残業について、町は答弁書で「命じたことはない」と反論。「故人は自主的に早朝に登校していたに過ぎない」とした。

 訴状によると、嶋田さんは14年4月に赴任し、1年生の学級担任や野球部副顧問を務めていた。過重労働により6月にうつ病など精神疾患を発症したとみられ、10月に自殺した。時間外勤務は最も多い9月で計169時間あったとしている。「保護者対応や上司からの厳しい指導などによる強い心理的負荷があったにもかかわらず、校長が業務量の軽減や新任教諭への配慮を怠った」などと訴えている。

 地方公務員災害補償基金県支部は昨年9月、長時間労働による精神疾患が自殺の原因として公務災害と認定した。

 次回期日は6月21日午後1時半から。

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