福井の報恩講料理を味わうチェンイーファー編集長=3月20日、福井市小路町の専徳寺

台湾の若者に人気の日本カルチャー雑誌「秋刀魚」

 台湾の日本通の若者に人気の日本カルチャー雑誌「秋刀魚」が今秋、福井の魅力を伝える特集号を日台で発刊する。編集部4人は3月中旬から約2週間、県内に住み込んで取材を展開した。対象は観光地よりもむしろ、まちの食堂や歴史ある工芸、地域の食文化。「台湾の若者たちは都市部の高級ホテルやレストランより、日本の普段の生活が味わえる自分だけの場所を見つけたい」。取材を終えた編集長のチェンイーファーさん(28)の声に耳を傾けた。

 秋刀魚は日本と台湾の橋渡し役になろうと2014年に創刊した。読者層は日本旅行を何度か経験していて、より深く日本を知りたいと思っている20〜30代の女性が中心。普通の観光では味わえない、その場所の文化や生活、歴史を伝えている。「日本のコンビニ」「地下鉄『銀座線』沿いのカレー」「九州の銭湯」など、こだわったテーマの特集が人気だった。

 幸福度ナンバーワンと言われるくらいに生活も充実しているのに台湾でほとんど知られていない福井に強い興味を持った。福井特集号のテーマは「微住」。福井人になりきって1〜2週間の旅を楽しむ新スタイルを提案したい。福井は3泊4日の旅先には選ばれにくいが、短期旅行と移住の間のような旅をすれば、きっと魅力に気が付いてもらえる。

 今回は普段の生活を味わうため、主に福井市内のお寺に泊めてもらって取材した。観光地だけでなく、まちで愛されている古い食堂や家族連れでにぎわうスーパー銭湯、まんじゅうまきも体験した。多くの人が福井弁で話しかけてくれて、いつの間にか古里にいるような気持ちになれた。

 福井の人が外国人観光客を招くのならば、無理をしないで友人を招くようにしたらいい。いつもの生活に私たちが参加できる“余白”を作ってくれると愛着が湧いてくる。みなさんがいつも食事に行くお店に連れて行ってほしい。

 【ひと口メモ】福井県内の外国人宿泊、台湾トップ

 観光庁のまとめによると、2016年の福井県内の外国人延べ宿泊者数は5万3830人。台湾はこのうち1万9400人で、中国を抜いて国・地域別のトップとなった。県内全体の36%を占める。台湾の旅行会社の視察受け入れに県などが力を入れ、高校の教育旅行先にも福井県は選ばれている。国・地域別の2位以下は中国21%、香港17%、タイと米国が各5%と続く。

 国内全体の外国人延べ宿泊者数をみると、中国が首位の1683万人で、2位の台湾は1062万人と開きがある。にもかかわらず、福井県を含め北陸や東北、四国の19県では、国・地域別で台湾がトップだった。東京や京都、大阪の「ゴールデンルート」以外の、地方に注目を寄せる台湾人の傾向がうかがえる。

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 先日発表された2016年の福井県の外国人宿泊者数は全国最下位。台湾の親日派に向けて発刊される福井特集号制作のキーマンの言葉から、世界に向けた福井の魅力発信のヒントを探る。

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