自社インテリアブランド第1弾として製品化した「スタッキング・スツール」=福井県坂井市の長田工業所

 福井県坂井市春江町に本社がある溶接加工の長田工業所(小林輝之社長)は自社技術を活用し、「溶接工場発」のインテリアブランドを立ち上げた。第1弾として、デザイナーらと協力し「スタッキング・スツール(積み重ねできる椅子)」を開発・製造した。シンプルなデザインに仕上がり、30脚を富山県高岡市にオープンした美術館に納品した。

 同社は工場の一部を溶接体験のテーマパーク「アイアン・プラネット」として市民に開放しており、パークの開業資金としてクラウドファンディングを活用した。そのサイトを通じて知り合った高岡市の金型工場「フジタ」が金属アートの美術館を併設することになり、施設内で使う椅子の製造依頼があった。小林社長は以前から自社製品の展開を考えており、受注を機にブランドを立ち上げることにした。

 デザイン・設計は東京のデザイナー西村拓紀さん、造形作家の志喜屋徹さんと協力した。椅子は高さ45センチ、幅50センチ。脚の鉄パイプは二等辺三角形状にしたものを3面組み合わせた。収納時に重ねた際のシルエットの美しさも求められ、小林社長は「接合部分の角度調整と溶接に苦労したが、洗練されたデザインに仕上がった」と手応えを示す。

 2月末の受注で納期まで時間がなかった中、製作の過程で、溶接工場では従来使われていない仮想現実(VR)システムを利用。3Dで実際の大きさや体との位置関係を検証することで、製造のスピードアップを図ったという。

 今回は座面に富山県産杉を使ったが、素材や色などのカスタマイズにも対応し受注生産していく計画。ベンチや机も手掛けたい考えで、小林社長は「美術館やホテルにマッチした、ストーリー性のあるハイブランドにしていきたい」と話している。

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