朝日に照らされる越前大野城を眺める清水孝啓さん=13日、福井県大野市犬山

 「天空の城」はいつ現れる?—。福井県大野市の越前大野城が雲に浮かぶ「天空の城」の姿が見られるのは秋から春のわずか10日ほど。市地域おこし協力隊の清水孝啓さん(25)=神奈川県出身=はシーズン中ほぼ毎朝、撮影スポットがある山に登り見学者と交流する一方、気象データを収集している。見えてきた鍵は「湿度と風」だ。

 清水さんは地域おこし協力隊として2015年6月に大野市に赴任。10〜4月には毎朝5時に越前大野城近くの山に登る。「1回として同じ景色の日がない。時間帯によっても城の表情が全く違う」と魅力を語る。天空の城は今シーズン、14回現れた。

 登山前、霧が出ていれば「天空の城が見られるかも」と常連の見学者たちに連絡する。現場では気温を記録し、日々のさまざまな時間帯の市内の気温、湿度、風速データを関係機関から取り寄せている。

 2シーズンにわたる分析から、天空の城は午前6時の湿度が約90%以上、同4〜8時の平均風速が0〜0・5メートル前後の日に出現する確率が高いとみる。出現時間は約1分〜3時間と気象によって大きく違う。

 多い日には県内外の約200人が撮影スポットを訪れ、「絶景に出合えた喜びで震える人もいる」。だが「何回も登り、やっとの思いで見られる人がほとんど」。こうした中で目指すは「天空の城予報」だ。

 一般的には気温が上がった日の翌日、冷え込んだ朝に出現するとされるが、データでみると気温だけでは予測が難しいという。「もっと詳細なデータを基に予想し、遠方の人にも発信したい」と気象予報士の資格取得を目指している。

 13日午前5時。いつも通り撮影スポットへ向かった清水さん。常連の上田弓子さん=福井市=ら2人を見つけ「普段会えない人たちと話ができる。その時間が本当に楽しい」。この日、天空の城は出現しなかったが、3人は朝日に照らされる越前大野城を見ながら会話を弾ませていた。

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