お披露目された新たなモニュメントと長谷光城さん(後列右)ら=3月28日、福井県若狭町上中中

 通学途中に交通事故で亡くなった女生徒をしのび、1971年に福井県若狭町(当時上中町)上中中に建てられたモニュメント「交通安全の塔」が作り直された。長年にわたって悲しい記憶を受け継ぎ無事故を願っていた塔は、新しくなっても登下校する生徒たちを優しく見守っている。

 事故は奥田みどりさん(当時3年)が、学校から約160メートル離れたJR上中駅前の交差点で大型トラックに巻き込まれて亡くなった。クラスを引っ張るリーダータイプだった。

 奥田さんの父が事故撲滅に役立ててほしいと学校に浄財を寄付。教員と生徒会で使い道を相談し、交通安全を祈るモニュメントを作ることにした。制作は美術教師として同校に勤めていた現代美術作家・長谷光城さん(73)が担当し、夏休みから取りかかった。

 生前、奥田さんは「看護師を目指したい」と話していたという。ナイチンゲールを連想させる優しい表情の女性をモチーフに、セメントで高さ約2・5メートルの作品に仕上げた。制作には生徒も協力し、生徒会が考えた「交通安全の誓い」を掲示した。校門前のグラウンド脇に建てられた。

 2015年10月、国道27号と同校をつなぐ町道の整備に伴い移設が必要に。ただ44年が経過し老朽化していたため、移動時に崩れる可能性があった。相談を受けた長谷さんが新たに作ることになった。

 約1カ月かけ制作した新たなモニュメントは、御影石を使い「魂(こん)」と名付け、魂を表す球体が天に昇る状態を表現している。交通安全の誓いの言葉は前年度の前期生徒会の9人が表現を手直しした。3月28日に生徒にお披露目された。

 前期生徒会長の辻本謙斗さん(3年)は「塔を見る度に誓いの言葉を思い出し、心に刻んでほしい」と話す。長谷さんは「悲惨な事故が二度と起きないでほしい。命の大切さを再認識するきっかけになれば」と願った。

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