骨の強度が低下し、骨折しやすくなる「骨粗しょう症」は、高齢者や閉経後の女性に多い身近な疾患。薬剤によって進行を抑制できる一方、副作用としてまれに顎骨の壊死が起こることが報告されている。顎骨壊死を防ぐには、投薬開始前から口腔内の衛生環境を良くし、清潔に保つことが重要。福井県歯科医師会は「薬物治療の際には歯科も受診して、歯垢や歯石を取り除く口腔ケアや、不適合な義歯の除去などを行ってほしい」と呼び掛けている。

 骨吸収抑制薬(BP製剤、デノスマブ)は破骨細胞を抑制することにより、骨の吸収を阻害する作用があり、骨粗しょう症患者や骨転移のあるがん患者に広く用いられている。歯科、医科の大学教授らでつくる「顎骨壊死検討委員会」が昨年発表した資料によると、BP製剤投与に関わる顎骨壊死の発生率は0・001〜0・01%。日本人は0・01〜0・02%とのデータもある。まれではあるものの、顎骨壊死になると痛み、腫れ、しびれなどの症状が出るため注意が必要だ。

 投薬による顎骨壊死発症のメカニズムは十分に解明されていないが、口腔内には多くの常在菌がおり、歯髄炎や歯周病を介して炎症が波及しやすいこと、抜歯などの歯科治療により感染を受けやすいことなどがリスク因子になっていると考えられている。

 薬物治療開始2週間前までに歯科治療を終えていることが望ましく、口腔内を清潔に保てば、投薬後歯科処置を行っても顎骨壊死の発生を抑えられるとのデータもある。ただ、抜歯など顎骨に影響を与える処置はできるだけ避けるべきとされている。

 近年、口腔内の状態はさまざまな病気の発生と密接に関連していることが分かっており、主治医と歯科医の連携が大切になっている。同検討委は薬物治療前および治療中の口腔内検査の重要性を訴え、歯科医はその結果を主治医に報告するなど協力体制の構築が必要と提言している。県歯科医師会は「骨粗しょう症の治療に入る場合は、歯科検査も頭に入れてほしい」と呼び掛ける一方、日ごろからの適切な歯科処置や歯磨き、うがいの徹底などの患者教育を進めていきたいとしている。

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