原子力規制委員会は26日の定例会合で、昨年4月の熊本地震を分析した結果、基準地震動(耐震設計の目安とする揺れ)の策定手法に影響する要因はないと結論付けた。基準地震動に過小評価の恐れがあるとした前委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)の指摘をあらためて否定した形だ。

 島崎氏は、関西電力大飯原発などの基準地震動を算出するのに使った計算式「入倉・三宅式」を退任後に再検証し、過小評価となる可能性があることが分かったと主張。熊本地震の観測結果でもこの問題を確認できたとして、昨年6月に規制委へ大飯原発の基準地震動再計算を提案していた。

 規制委事務局の原子力規制庁は、島崎氏が根拠の一つとした熊本地震の観測記録に基づく解析を行い、現行の策定手法に問題がないか検証。昨年4月16日の地震の観測記録を使って、震源断層の面積と地震モーメント(地震の規模)を算出した。

 規制庁が外部委託したものも含め、国内5機関が算出した二つの値の関係を入倉・三宅式ではじき出されるものと比較した結果、整合性がとれていることを確認した。

 規制委は昨年7月時点で、合理性が検証された手法を用い、断層を長く見積もるなどの安全対策が取られているとして、基準地震動を見直す必要はないと結論付けていた。ただ島崎氏は今月24日、名古屋高裁金沢支部であった大飯3、4号機の運転差し止め訴訟控訴審に証人として出廷、基準地震動の過小評価を主張している。

 会合後の記者会見で田中俊一委員長は「熊本地震の分析結果に、島崎氏の言うような新たな知見はなかった。彼が主張する根本が違うのではないかというのが率直な印象だ」と語った。

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