通行量が増加している福井駅周辺。ハピリン(中央のビル)開業などの影響で、若者の姿が多くみられるようになった=福井市中央1丁目

 「福井って思っていたよりも都会なんですね。こんなに大きいビルもあってびっくり」。京都市から観光に来ていた男性はハピリンを見上げながら語った。

 福井市のJR福井駅西口は、ハピリンのオープン、屋根付き広場ハピテラスで催されるイベントの活況、公共交通機関の発着点として集約された交通広場の完成によって劇的に変わった。あれから1年。停留所に利用者が列をつくり、ハピテラスのベンチで高校生らがおしゃべりを楽しむ“都会っぽい風景”は当たり前になった。

 成果は数字に表れている。施設の規模や立地状況から市が推計していた年間の来館者数130万人は軽々とクリアし、4月23日に300万人を突破した。40万人としていた市の主要4施設(ハピテラス、ハピリンホール、福福館、セーレンプラネット)の目標も昨年12月に早々と達成した。

 21のテナントが入居する1、2階の商業フロアも好調。当初見込んでいた1日の来客数は平日2千人、週末3千人だったのに対し、実際には平均6千人が足を運んだ。「予想以上の売り上げ」も生み出している。

 毎週末イベントがあるハピテラスの集客力が波及効果をもたらし、各店舗の営業努力も実を結んだ結果だという。

 セレクトショップ「Kirari」は当初、福井県内の伝統工芸品がメイン商品だったが、オープン半年後には食品や雑貨を充実させ、喫茶コーナーも設けた。観光客に照準を合わせていた弁当製造・販売の「三丹本店」も地元客に親しまれるようメニューを見直し、昨夏から価格を下げている。

 「お客さまの3分の2は県内から。県民向けの品ぞろえも充実させた」。Kirariを運営する大津屋の担当者はこう説明する。

 柔軟な対応が好調を下支えしている半面、観光客が抱く福井の第一印象に影響する、県都の玄関口という立地を考えたとき、観光面で物足りなさがあるのは否めない。

 例えば商業フロアには「北陸初出店」といった県民が喜ぶものはあるが、“福井らしさ”“福井ならでは”という観光客をもてなす視点は弱い。

 「お土産を買って終わってしまう。福井を印象付けるものがない」。こうした声は当の福井市民からも聞こえてくる。

 「これで完成、ということはない」。ハピリン管理組合の角原馨理事長は「各テナント・施設が変化し続け、周辺の商店街とも補完し合うことで、『点』ではなく『面』で福井らしさを発信したい」と考えている。

 ただ、その具体策はまだ見えていない。

 ソフト事業を柔軟に展開できるハピテラスなど、ハピリンには大きな可能性がある。どのような“変化”を遂げるのか。真価が問われる2年目を迎えた。

 【ハピリン】2016年4月28日にオープンしたJR福井駅西口再開発ビル。地上21階、地下2階、高さは県内一の91メートル。総事業費は約137億円。

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