結核菌の感染を防ぐ免疫細胞の研究について発表する定教授(右)と本定医師=27日、福井県永平寺町の福井大松岡キャンパス

 福井大医学部の研究チームは27日、花粉症などのアレルギー症状を引き起こすことで知られる免疫細胞「マスト細胞」が、結核菌の感染を防ぐ働きを持っていることを突き止めたと発表した。結核の新たな予防法や治療法の開発につながる成果という。

 同大の学術研究院医学系部門の定清直教授(ゲノム科学・微生物学)と医学部附属病院呼吸器内科の本定千知医師らによる共同研究。論文は英科学雑誌(10日付)に掲載された。

 今回の研究では、結核菌の細胞壁の成分にマスト細胞の培養液を加えた際の反応を確認。マスト細胞が「ヒスタミン」と呼ばれる物質などを放出、免疫機能を高めて結核菌感染を防御する働きをすることが分かった。マスト細胞はもともとは寄生虫の感染を予防する働きを持っているが、寄生虫が減った先進国では、花粉症を引き起こすやっかいな存在と位置づけられていた。

 結核は世界で19億人が感染しているとされ、国内でも毎年約2万人が発症、約2千人が死亡している。福井県のまとめでは県内で毎年約100人が新規に発症、死者も約10人となっている。

 チームはマスト細胞を研究する中で、2013年から結核菌との関係に着目し、成果につなげた。定教授は「結核は世界最大の感染症の一つ。決して過去の病気ではなく、根絶に向けた新たな展開を可能にする」と話した。今後は、マスト細胞が結核菌に作用するメカニズムについて研究を進める予定。

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