2012年に低ナトリウム血症で入院しました。治療後退院し普通に生活していましたが、14年2月にナトリウム値が125まで低下。汗をあまりかかない冬でも低ナトリウム血症になることが分かり、毎月2〜4回点滴を受けていますが、血管が硬くなるのか、注射針が刺しにくくなりつつあります。点滴を受けないと挙動不審になることもあるようです。ほかの腎臓の働きは正常です。根本的な治療法などあれば教えてください。(福井県越前市、68歳男性)

 【お答えします】夏井耕之・福井赤十字病院内科部長

 ■病名でなく症状、要因さまざま

 「低ナトリウム血症」は病名ではなく症状、つまり腹痛や発熱などと同じ言い方です。「症状」が解熱剤や痛み止めで一時的に改善しても、元の病気を治さなければ解決になりませんね。

 低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム(≒塩分)濃度が低くなった状態です。(1)体全体の水分が増えて薄まった(2)血液の中に水分が入ってきて薄まった(3)腎臓から塩分が逃げていった(4)腎臓以外の要因(飢餓、偏食、下痢嘔吐(おうと)、熱傷、脱水症など)(5)極端な高脂血症などで見せかけの低ナトリウムとなった−などのケースがあります。ご質問の方は普通に日常生活を送られているようなので(4)や(5)は省略します。

 (1)には心、腎、肝臓などの深刻な病気か、もしくはADH不適合症候群(SIADH)というホルモン異常が含まれ、特にSIADHには脳や肺の病気が隠れていることがあります。(2)には重症高血糖やある種の利尿薬使用、カリウム欠乏など特殊な病気が含まれます。(3)は腎臓そのものの異常のほか、一部の降圧利尿薬、加齢によるホルモンバランスの変化、妊娠、甲状腺機能低下症、副腎不全、特に血中ナトリウムを維持する副腎ホルモン作用の低下、さらにその原因となる下垂体の病気などが含まれます。

 ■原因疾患の特定必要

 目の前の症状を軽減するために、重症低ナトリウム血症で生命に危険が及ぶ場合には、生理食塩水より濃い高張の食塩水をゆっくり点滴する(急ぎすぎると脳障害が起きる)という治療をしますし、体全体の水分塩分が減っている脱水症なら生理食塩水を点滴します。体と血液中の水分が正常あるいは過剰で、塩分が薄まっている場合には、軽度なら飲水制限、水分貯留があれば利尿薬を内服します。

 重要なのは「血液の塩分が低くなっているのはどういう状態で、なぜなのか」を的確に診断し、先のいずれかの原因疾患を特定して、その病気の根本治療を行うことです。漫然と点滴を続けるのでなく、的確な診断ときちんとした原因疾患の治療について主治医に相談してください。

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