神と紙の祭りの販売コーナーで、越前和紙を眺めるココッチさん=3日、福井県越前市新在家町

 越前和紙に魅了され、買い付けに来日するポーランド人女性がいる。和紙販売の会社を立ち上げ、首都ワルシャワで開かれたバザーで和紙を販売するほどの入れ込みようで、5日まで営まれている越前市大滝町の紙祖神(しそしん)の例大祭に訪れた。パリのルーブル美術館で文化財修復に使われる越前和紙。「産地と欧州との懸け橋になりたい」と熱意を燃やしている。

 女性はポーランド西部の都市ポズナンの国立博物館で、紙や革の作品の修復、保存を担当するヨアンナ・ココッチさん(32)。インターネットで越前和紙を知り、製紙所を見学するため昨年3月に初めて同市を訪問した。「伝統を引き継ぐだけでなく、現代的なデザインにも挑戦している。職人は生きた宝のよう」と魅了された。

 ココッチさんによると、欧州の紙市場には「和紙」の名を語っただけの質の悪い紙もあるという。「高品質な和紙を広めたい」と、昨秋に越前和紙や漆器を販売する会社「KOIKI」を友人と2人で設立。ホームページも開設し、越前和紙を使った商品を販売している。

 「質の良い和紙を手に入れたい欧州の学芸員仲間は多い」(ココッチさん)といい、12月には首都ワルシャワの博物館でバザーに出店し、福井県越前市で買い付けた和紙を販売した。同市の人間国宝、岩野市兵衛さん(83)の和紙が3年前から、ルーブル美術館で文化財の修復に使われていることも欧州での越前和紙の高評価につながっている。

 紙祖神を祭る岡太(おかもと)神社・大瀧神社(同市大滝町)などで3日から始まった「神と紙の郷の春祭り」に合わせて同市を訪れた。「越前市は和紙や紙すきの長い歴史があり、自然がきれいで人も優しい。また来られてうれしい」と、3度目の訪問を満喫している。「和紙商品を販売するだけでなく、伝統としての素晴らしさも伝えたい」とさらに意欲を高めた様子だ。

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