都道府県別にみた生涯未婚率の上位と下位

 国立社会保障・人口問題研究所が4月に公表した、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」は、都道府県ごとに大きな差がある。女性は大都市を抱える地域、男性は東日本が高い傾向があるものの、「はっきりとした要因は分からない」と語る自治体担当者は多い。その地域ならではの背景事情も透けて見える。

 2015年の生涯未婚率の全国平均は、男性23・37%、女性14・06%。女性はトップの東京(19・2%)と最も低い福井(8・66%)で2倍以上、男性は最も高い沖縄(26・2%)と最も低い奈良(18・24%)で8ポイント近くの開きがあった。

 女性の上位10都道府県には、東京をはじめ北海道、大阪、福岡、京都など大都市がある自治体が入っている。

 北海道は17・22%で女性の2位。結婚支援の担当者は「札幌市の生涯未婚率が高く、全体を押し上げている」と分析する。道内の女性は進学や就職を機に札幌市に移り、住み続けるケースが多いという。「北海道は昔から、結婚に対するプレッシャーが少ない土地柄と言われている。特に札幌市は周りに独身の人が多く、焦りを感じない女性が多いのではないか」と説明する。

 福岡県は「県内の女性の人口比率が男性より高いことが影響していると考えられる」(子育て支援課)と分析。福岡市は学校が多くサービス産業も盛んで、九州・山口から女性が流入するためだという。

 一方、男性の上位10都県のうち8都県が東北、関東地方など東日本に集中している。

 26・16%で2位の岩手では15年に結婚サポートセンターを開設。センターの登録者は、県庁所在地の盛岡市では男女比が同程度だが、農業や漁業が盛んな山間部や沿岸部では男性の比率が高い。県の担当者は「第1次産業に就く男性の出会いの場が少ないことがうかがえる」と話す。

 少子化問題に詳しいニッセイ基礎研究所の天野馨南子研究員は「若い女性は便利で娯楽の多い都市部に集まる傾向にあり、男性は1次産業や自営業の後継者として地元にとどまるケースが女性よりも多いことが、生涯未婚率の地域差に影響している」と分析する。

 一方、男女とも生涯未婚率が低い県もある。福井は女性が最も低く、男性も下から3番目で「結婚先進県」と言われている。県の担当者は「3世代同居や近居の割合が高く、若い夫婦の共働き率が高い。経済的な生活基盤を確保しやすいことが結婚を後押ししているのではないか」と分析する。

 男女とも下から2番目の滋賀は「京阪神への通勤が便利で自然も残っていて子育て世帯に人気があるため、生涯未婚率を押し下げているのかもしれない」と説明する。

 男性が最も高く、女性も5位の沖縄の担当者は「非正規労働の割合が多いといったデータはあるが、はっきりとした理由は分からない」と戸惑いを見せる。

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