新幹線と在来線を直通運転するための軌間変換装置を通過するフリーゲージトレイン=熊本県八代市

フリーゲージトレインのイメージ

 レール幅の異なる新幹線と在来線を走行できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の技術・コスト面での国土交通省の検証が重要な局面を迎えている。実用化の前提となる耐久走行試験は部品の不具合で2年以上中断しており、検証を踏まえ6月ごろに再開できるかどうかの結論が出る見通し。FGTは北陸新幹線での活用が検討されており、結論次第で県内に影響が出る可能性がある。

 ■滑らかな変換

 3月25日、熊本県内で昨年12月から行われているFGTの検証走行試験が報道陣に初公開された。「車軸の潤滑油の汚れなど目視では異常はなく、トラブルもなかった」。国交省鉄道局技術開発室の岸谷克己室長は、耐久走行試験に向けた検証が順調に進んでいることをアピールした。

 公開されたのは、熊本—新八代(約33キロ)の新幹線区間と、新八代—有佐(約6キロ)の在来線区間の走行試験。試乗すると、高速走行で少し横揺れを感じたものの、営業車両に近い乗り心地だ。FGTは在来線に設けられた約70メートルの「軌間変換装置」を通る時に車輪の間隔を変えるが、時速10キロ程度で走るため車内で振動や音は感じなかった。

 ■車軸付近にひび

 FGTは新幹線用のフル規格の線路を建設するのに比べてコストを削減できるのがメリット。九州新幹線の長崎ルート(博多−長崎)に2022年春の導入が検討されている。

 14年10月に計60万キロを走らせる耐久走行試験を始めた。ところが、直後に車軸付近にひびや摩耗が見つかったため中断した。耐久走行試験の再開について、与党プロジェクトチームの検討委員会が国交省の検証結果を踏まえ6月ごろに、結論を出す方針だ。

 ■三つの課題

 FGT開発の主な課題は▽車軸の摩耗▽高速走行安定性▽コスト(経済性)—の三つがある。国交省は「異常はなかった」と現時点での検証走行試験を評価しており、今後は車軸を分解し、1000分の1ミリ単位で摩耗の具合を調べる。大きな横揺れがないかどうか、高速安定走行の試験も室内で実施している。

 さらに重要なのが経済性。新幹線に比べて構造が複雑で部品も高額なため、コストは2・5〜3倍かかるとされる。どれだけ費用を抑えられるかが重要になってくる。

 部品を再利用できないかメーカーと検討を始めているが、国交省側は「具体的に示せるものはまだない」とする。運営主体のJR九州の担当者は「まだコストの問題もあり、導入は未定」と話す。

 北陸新幹線でも敦賀開業後、敦賀−大阪がつながるまでの間、雪対策を施した北陸用のFGT導入が検討されている。ただ、九州用の開発が難航し、具体的な導入時期のめどは立っていない。岸谷室長は「初夏をめどに出す耐久試験再開の判断に、全てがかかっている」としている。

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