巣に入れた直後から有精卵を温めるふっくん(手前)、その様子を見守るさっちゃん=10日、福井県越前市(県提供)

 福井県は10日、越前市白山地区で飼育する国の特別天然記念物コウノトリのペアに有精卵を温めさせる托卵(たくらん)を始めた。有精卵は、1970〜71年に旧武生市(越前市)に滞在し、保護されたくちばしの折れたコウノトリ「武生(コウちゃん)」の子が産んだ3個。早ければ14日前後に「武生」の孫に当たるひなが誕生する。

 3個の有精卵はこの日、兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園(同県豊岡市)から簡易ふ卵器に入れて移送。福井県の木村美貴獣医師らが飼育ケージに隣接する救護施設内で状態を確認し、正午過ぎに巣に入れた。雄のコウノトリ「ふっくん」は、木村獣医師らが巣を離れた直後から巣に戻って卵を温めた。その後、雌の「さっちゃん」も交代で卵を抱いた。

 有精卵は、同公園で飼育されている「武生」の“一人娘”「紫」が4月9〜15日に産んだ。無農薬の米作りに取り組む「コウノトリ呼び戻す農法部会」の稲葉洋会長(70)=越前市=は托卵開始の一報を聞き「武生は白山の住民にとって特別な存在。早く孫の姿が見たい」とひな誕生を心待ちにしている様子だった。

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