JR福井駅西口の再開発で検討されている機能

 JR福井駅西口の複数のエリアで再開発の動きが進んでおり、今後は各エリアの地権者らが同時進行でそれぞれの計画を具体化する段階に踏み出そうとしている。ハピリン開業に次いで駅西口の姿が大きく変わる可能性があり、まち全体としての調和が課題になる。宿泊や居住、商業、医療など建物に持たせる機能がそれぞれで検討される中、エリア間の連携を模索する動きも出始めたが、計画や構想を共有できる仕組みづくりには至っていない。

 ■相互把握が前提

 例えば懸念されるのは、類似した福祉施設が近隣で重複したり、ホテルの乱立で客室が将来的に供給過多になったりという事態。福井市都市整備室は「民間の経済原理で避けられる」と楽観視するが、再開発が同時進行する現状では、各エリアが互いの計画を事前に把握することが前提になる。

 景観デザインの統一性、ビル入り口の向きにも影響される歩行者動線のあり方といったまちの全体像を考慮するなら、エリア間の連携はなおさら必要だ。

 福井市は、エリアごとに望ましい都市機能などを示す「福井駅・城址(じょうし)周辺地区市街地総合再生計画」の策定作業を進める。だが、現在検討されている再開発の青写真は、来年1月の同計画策定までにほぼ固まっていく見通し。東村新一市長は10日の会見で、「すべて白紙から“絵”を描けるのが理想かもしれないが、現実的にはそれぞれの地権者の思いがある」と説明。ただ、各事業の方向性が全く異なるようであれば、行政による事業計画認可の段階などで調整に入る余地はあるとの認識を示した。

 ■情報交換至らず

 福井市の第三セクターまちづくり福井は昨年9月、各エリアの地権者らを集めた協議の場を設け、同じテーブルで構想を共有するよう提案した。ただ、水面下の検討状況を情報交換するには至らず、会合は尻すぼみになっているという。岩崎正夫社長は「まちの全体イメージを共有するため、何とか仕切り直しをしたい」と話す。

 当事者にも危機感はある。ユアーズホテルフクイの建て替えを軸にした再開発協議会の事務局の福井銀行担当者は「(他の再開発との)すみ分けは当然考えないといけない。客観的に機能調整を検討するエリアマネジメントの場が必要になる」との認識だ。

 福井駅南エリア再開発協議会の計画に携わる下川勇福井工大准教授は「個々の建て替えだけでは、何のコンセプトもないまちのまま変わらない。せっかくならベクトルをそろえたい」。同エリアのコンセプト案「健康を楽しむまち」を、周辺一帯とも共有できないかと考える。「まちがまた継ぎはぎになろうとしている。今ならまだ間に合う」

 ■ある程度の幅で

 福岡市都心部では2008年、4ブロック(計約17ヘクタール)の地権者が20年後のまちの姿を共有するための「天神明治通り街づくり協議会」を結成。約1年かけて策定したグランドデザインには▽個々のブロックが競争するだけでは限られた市場を奪い合うだけ▽バラバラの開発では統一感がなくなりまちの価値が低下する—と盛り込んだ。多様性や回遊性を高めるなどの共通意識の下で、再開発事業が動きだしているという。

 同協議会の設立に携わった都市デザインの専門家の後藤太一さん(福岡市)は、昨年9月の福井市内の講演で「(複数の再開発計画の)完璧な調整はできないが、ある程度の幅には収まっていることが大事。それぞれのブロックでやりたいことがあっても、何となく同じ方向をみて進むべきだ」と指摘した。

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