親御さんにとっては、お子さんを育てられるうえで「子どもをどんな子に育てたらよいのか」という子育てのその目標を確信できないままに子育てに当たっておられる方も少なくないのではないでしょうか。

それはあまりにも情報が多いからかえって確信的なことがとらえられ難いかもしれませんね。なかにはそんな面倒なことは考えずに毎日の子育てをやっているという方もおられるかもしれません。

これは親御さんだけではなく保育士である私たちも、これまでの年月は‘お子さんをお預かりする責任において、お子さんの育ちでもっとも大切にすべきことは何か’を真剣に模索してきた年月であるといっても過言ではないのです。

幼児教育の場においてはそれぞれに行政が定める目的があります。保育所においては「保育に欠ける子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする」とされ、その目的を積極的に増進するためにもっともふさわしい「生活の場」であることが今年度の保育指針の改定に新しく付け加えられております。

当然、保育所は保護者の就労を支えることが大事な目標の一つなのです。が保護者や社会のニーズに応えるために子どもの育ちがおろそかにされてはなりません。しかし、保育の現場におりますと、ややもすればそのしわ寄せが、物言わぬ幼子に寄せられてしまっていることも多いのです。

子どもの育ちを考えるとき、一般には私たちの見える範囲(私たちの感覚でとらえられる世界)でのみ考えるのが普通です。

人間という存在は、見える世界だけではなく、見えない世界(死後の世界)をも含めて成り立っているという考えに立って物事を捉えようとする立場もあるのです。

仏教や伝承文化をはじめ芸術の世界においては、こうした観点に立って物事を捉えていることも多いようです。

ドイツの思想家、ルドルフ・シュタイナーもそうした立場に立って物事をとらえていた人です。そうした立場から「子どもの育ち」についても多くの示唆を私たちに与えているのです。

ここではそのシュタイナーの提示するところにしたがって人の一生を見ていきたいとおもいます。「バイオグラフィー・ワーク入門:水声社」「あなたは7年ごとに生まれ変わる:河出書房新社」「昨日に聞けば、あしたが見える:ほんの木」などの本を参考に考えていきたいとおもいます。

人の一生を大まかに見ていくとき、まず大きく二つに分けて考えられるというのです。

シュタイナーは人生をおおよそ72歳として考えておりますので、人生の真ん中およそ35歳を人生の転換点として人生の前半、後半と分けるのです。そのわけ方によれば、35歳までの前半は吸収する時期であり、それ以降の後半は周りの世界に戻す時期にあたるというのです。

人生の前半およそ35歳までを、自分を形成するために外界のあらゆるものを吸収し、自分に取り込む時期とするならば、後半は、吸収し、取り込んだものを周りの世界に向けて注ぎ、生かしていく時期と見ていくのです。

簡単にまとめてみますと、

<人生の前半>
・自分を形成するために外界からあらゆる物を取り込み受け取る時期      
・ 関心が自分に集中する時期
・息に例えれば吸う時期     

<人生の後半>
・身体を維持し、そして衰退していく時期では有るが精神的な意識がより強まっていく時期
・吸収し、取り込んだものを価値を変化させて周りの世界へ戻す時期 
・息に例えれば吐く時期

こうした二つの段階に分けるわけ方のほかに、人の一生を三つの段階に分けて考えるわけ方があります。そしてさらにもっと細かく分けてみていくことができるのです。では、次回ではそうしたわけ方にしたがってさらに細かく見ていきたいとおもいます。