積雪の観測は明治30年、福井測候所(昭和32年に気象台と改称)が出来て以来続けています。大雪の記録をひも解いて見たいと思います。

1位の「38豪雪」は12月31日に5cm積もったのが始まりです。1月上旬は降ったり止んだりで、9日には31cmになりました。ここまでは普通の冬でしたが、中旬に入りまとまって降り、17日には99cm。下旬は降雪が続き27日に2mを超し、31日9時に213cmを観測しました。2月に入ってからは降り方も弱まり積雪は減少に向かい、3月21日に積雪ゼロとなりました。当時は高速道路も無く、鉄道は運休で市内の食料品は底をつき、市民生活に大きな影響が出ました。現在の除雪対策はその時の教訓を生かしたものです。

2位は209cmです。昭和元年12月に纏まって降りだし、31日には58cmとなりました。年が明けて1月上旬は降り方が弱まり7日には積雪は無くなりました。再び19日から降り出した雪は25日に1mを越し、2月に入り小康状態は長く続かず8日から降りだした雪は12日に209cmになりました。この積雪がなくなったのは3月26日でした。

3位の「56大雪」は記憶されている方も多いと思います。福井と敦賀は偶然にも同じ最深積雪196cmを記録しました。本格的に降り出したのは仕事収めの27日からで、2日後の29日には1mを超しました。年が明けてから日降雪量が50cmを越す日が3回もあり、成人の日の15日に196cmとなりました。この雪が消えたのは3月21日でした。

気象庁は甚大な被害をもたらした現象に固有名詞を付けます。昭和38年は「38豪雪」、昭和56年は「56大雪」と命名しました。

大雪になる気圧配置の特徴は3波数型(※1)と呼ばれています。北極圏で蓄積された寒気は東アジア・東ヨーロッパ・東アメリカの3方向に延びる形です。5波数になると分散されて、強い寒気が居座る事はありません。

今冬は平年より早く積雪がありましたが、12月20日から向こう1カ月の予想は、エルニーニョ・ラニーニャ(※2)現象は起こらず、一時的に寒気は入りますが、気温は高めで、降雪量は少ない確率が40%となっています。20日の天気図は5波数になっており、強い寒気が南下しているのは、米国とシベリア東部です。日本付近は25日前後に、クリスマス寒波が入り雪になるでしょう。

よいお年お迎えください。

(※1)波数 上空は地球の南北の温度差と、地球の自転により、西風が帯状に吹いています。緯度線に平行に吹く訳ではなく、蛇行しており、北向きに吹いている前面は気圧の峯になり、南向きに吹いている前面は気圧の谷です。この流れにより、冷たい空気と暖かい空気が攪乱されて、地球の温度を調節する役割を果たしていますが、気圧の谷に伴い寒気が南下してきますと、雪を降らせます。この気圧の谷が北極を中心に見て幾つに分かれているかで波数が決まります。

(※2)エルニーニョ現象 太平洋赤道域の中央部(日付変更線付近)からペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年以上続く現象です。これとは逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続くのはラニーニャ現象と呼ばれています。エルニーニョ現象は、太平洋高気圧の勢力が平年より弱まつた時に北東貿易風も弱まり、起こると言われています。海面のみの現象ではなく大気の変動とも密接に関連しています。

「エルニーニョ」はスペイン語でエルは定冠詞、ニーニョは「男の子」の意味で、幼児イエス・キリストを指します。南米ペルー沿岸では12月になると水温が上がり、漁師は寒流系の魚が取れないので休漁します。クリスマスにちなんでこのように呼ぶようになりました。「エルニーニョ」現象が起こると日本付近の気温は高くなり、「ラニーニャ」現象の時は気温が低くなる傾向があります。これらの現象は長期予報の参考にしています。